2016年6月25日土曜日

花を描く

今回は、家事とお仕事の合間を縫ってアトリエラポルトで学ばれて約2年のK.nさんの制作を紹介します。



基礎デッサンから始めてグリザイユへと進み、色を使った油絵は2枚目となります。

テーマは薔薇の花を選ばれました。



最初にキャンバスと同じサイズの枠を透して、構図を考えます。K.nさん位デッサンが描けるようになると、この段階が絵の良し悪しに大きく作用します。時間をかけて納得するまで行うようにアドバイスしました。

結果、奥行きを意識したモチーフの配置となりました。



デッサンを取って、バーントアンバーをベースに大きな明暗をつけた後は、対象の色をパレット上で作って直接置いていきました。


















薔薇 (F4号)



明暗のメリハリと色の対比の明快な絵に仕上がった秀作だと思います。

細部の描写を意図的に省略したことで、色そのものの美しさと対比が際立って見えます。構図も垂直水平を軸にして、奥行きを暗示する斜線がうまく入っています。これにもう少し形のボリューム感がでれば、もっと良くなることでしょう。
















2016年6月6日月曜日

散策 山梨県立美術館

今回は、,山梨県甲府市の「芸術の森公園」内にある山梨県立美術館を紹介します。



1978年に開館したこの美術館は、開館に合わせて購入したミレーの「種まく人」で一躍注目を集め、大勢の観光客が押し寄せたことで有名になりました。

その後の地方美術館建設ブームのさきがけとなったた美術館です。





ブールデル作「ケンタウロス」がお出迎え



バルビゾン派を中心に地道にコレクションを増やし、2009年には専用の常設展示室として「ミレー館」増設してリニューアルオープンしました。


















入口の正面に広がるエントランスから2階に上がるとミレー館があります。












ミレー館入口

ミレーの作品以外にも、クロード・ロラン(必見!)、ロイスダール、コロー、クールベ、ルソー、トロワイヨン、デュプレ、ドーピニーなどの素晴らしい作品が展示されています。








ミレー「種まく人」 1850年 (99.7×80.0)


これが、かの有名な「種まく人」。

日本では、戦前から岩波文庫のロゴとしてお馴染みの絵です。1977年に東京銀座の飯田画廊がアメリカのオークションで約2億円で落札して、この美術館に収めて話題になりました。金額もさることながら、まったく同じ構図の「種まく人」がボストン美術館にもあり、真偽論争も加わって当時マスコミを騒がせました。その効果もあって、地方の美術館としては驚異的な来館者数となったそうです。











ミレー「オノの肖像」1841年頃
(73.0×63.0)
ミレー「落穂拾い」1853年
(38.3×29.3)
ミレー「夕暮れに羊を連れ帰る牛飼い」1857年頃
(53.5×71.0)

ミレー「眠れる」お針子」1844年頃
(45.7×38.1)
ミレーの作品は、この他にも油絵、パステル、デッサン、版画を見ることができます。





コレクションを鑑賞した後は、1階のレストランがお勧めです。


本棚に並んでいる画集を見ながら、ドリアでもいかがでしょうか?














美術館を出ると、目の前に先ほど見たバルビゾン派の木々を描いた絵と同じような風景に出合います。











手前の彫刻は、ザッキン作の「ゴッホ像」
奥が山梨県立文学館



美術館の向かいにある建物は、山梨県立文学館。近世から近現代の山梨県ゆかりの文学者に関する資料を収集・展示しています。














山梨県立美術館: 山梨県甲府市貫川1-4-27(芸術の森公園内) ℡:055-228-3322
        常設展観覧料  一般 510円
        開館時間     9:00~17:00(入館16:30まで)
        休館日      月曜日(祝日の場合はその翌日)