2017年5月21日日曜日

暖色と寒色によるグリザイユ 2

3月22日のブログで紹介したH.mさんによる「暖色と寒色によるグリザイユ」が出来上がりました。
(このグリザイユの手法については、その時のブログをご覧ください。)









面冠女神像
「暖色と寒色によるグリザイユ」 (P15号)


仕事の合間を縫って制作だったので時間がかかりましたが、この手法の目的と効果がよく表れた作品になりました。
画像では分かりにくいのですが、一見グレーのモノトーンに感じますが、背景に対して石膏は暖かく、その石膏像の明部は暗部(影)より暖かく、明部の中も手前になるほど暖かくなるように描かれています。
結果として単色のグリザイユより、自然な空間とボリューム、輝やくような光を感じさせることに成功していると思います。


このように明暗(光と影)を寒暖で置き換える見方は、色を使った時にも応用できます。

例えば裸婦を描く場合、決めた肌色の明度だけの変化では単調で生気のない人体になってしまいます。寒暖を意図的に使い分けることで、自然で輝くような肌の表現が可能になります。ルーベンス(1577~1640)はこの寒暖の微妙な変化を色相に置き換えることで、同時代では例を見ない、明るく光り輝くような革新的な裸体表現を行いました。 それは後に、ヴァトーによってフランス・ロココ時代の色彩表現に引き継がれ、さらに後の印象派の礎を作ったとも言えるでしょう。


明暗と色彩の関係は、絵画表現の要と言える問題です。さまざまな考え方や捉え方、そして教え方があります。今回の「寒色と暖色によるグリザイユ」は、明暗をベースに置くリアルな表現から、色の効果について考えてみる、良い方法の1つだとアトリエラポルトでは考えています。


2017年5月3日水曜日

平塚市美術館 「リアルのゆくえ」


今回は平塚市美術館と企画展「リアルのゆくえ」を紹介します。

平塚市美術館は、JR平塚駅から徒歩20分の静かで落ち着いた場所に建つ立派な美術館です。








1991年3月に開館。
地元にゆかりの作家の作品を中心に収蔵・展示すると共に、内容の濃い企画展を行う美術館として知られています。

館内は驚くほどゆったりとした空間と、大理石をふんだんに使った内装が綺麗です。

また、大きく取られた窓からは芝生や木々の緑が広がり、野外彫刻も鑑賞できます。









現在(6月11日まで)行われている企画展「リアル(写実)のゆくえ」は、写実絵画を目指す方、興味ある方には是非とも見て頂きたい展覧会です。

明治時代に本格的に西洋の写実技法が移入されて150年。その間の変遷をいくつかの時代に分けて、代表的な写実絵画を展示しています。高橋由一から岸田劉生そして礒江毅など、単に画家個人の表現の問題だけでなく、その背景にある時代や社会の影響を考えさせる展示になっています。

リアルな表現とは何か?
肉眼で見て捉えたリアリティと機械の(写真機)の捉えたリアリティの違いとは何か?
この先の写実絵画はどうあるべきか?
など、さまざまな問いかけとヒントを与えてくれる展覧会です。


開館時間 9:30 ~ 17:00
     (入場は16:30 まで)
休館日     月曜日
観覧料金  一般800円、高大生500円
※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
       





展覧会を見て疲れた目と頭を休めたい方は、美術館に付属するレストラン「ラ・パレット」がお勧めです。

扇形に配置されたテーブルは、どの席からも美しい庭を見ながら、おいしい料理を味わうことができます。










平塚市美術館
〒254-0073 神奈川県平塚市西八幡1-3-3
電話:0463-35-2111
開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館し翌日休館)・年末年始