2015年1月21日水曜日

展覧会のご案内

今回は私達の絵描き仲間の展覧会を紹介します。
共に西洋の古典絵画をベースに制作しています。
お時間のある方やお近くの方は是非ご覧戴きたい展覧会です。
  ・この展覧会は、盛況の内に終了致しました。


【嶋根幸延】

「ECHO」  F6

「眼差し」  F4

「百合」  F4


【鳥越一輝】

「2014.12.29」  333×242

「2014.12.7」  455×333

「2014.11.24」  606×455

《ふたり展》
東武百貨店 船橋店(JR船橋駅から徒歩0分)
 5階美術画廊
2015年1月29日(木)~2月4日(水)
午前10時~午後7時30分(最終日は6時まで)




2015年1月16日金曜日

アトリエの道具と画材 8 「木枠の楔について」

今回は、キャンバスを張る木枠の楔(くさび)の必要性について考えてみたいと思います。


右はアトリエラポルトにある19世紀フランスの絵です。32cm×25cmの小さな絵ですが、裏を見ると、木枠の四隅と中桟に三角形の楔が打ち込まれているのが分かります。




このような楔付き木枠は特別なものではなく、西洋のほとんどの絵の木枠には付いているものです。












例えば右はパリの画材屋で買ってきた張りキャンバスです。

楔は、湿度変化や経年変化で緩んできたキャンバスに張りを戻す目的で付けられています。
キャンバスが緩んできたら楔を金槌で軽く叩くと張力が戻る仕組みです。







右は1900年頃のルフラン社のカタログに掲載されていたもので、新型の木枠として楔の機能に代わる器具を紹介しています。

このように、西洋ではキャンバスは緩むのを前提に木枠を考えています。

ところが今の日本では楔のない木枠がほとんどで、キャンバスが緩んだ時は張り直さなくてはなりません。


写真Aは現在日本で売られている数少ない楔付き木枠の例です。



写真Bは、リキテックスのアクリル用ベーシックス・キャンバスで、袋に楔が入っていて自分で付けるようになっています。




キャンバスの緩みは、描きにくいばかりではなく、長期間そのような状態で絵を放置すると絵具層のひび割れや剥離の原因になります。特に湿度の変化の激しい日本では、キャンバスの伸びちじみも激しくて緩みやすいので、楔付き木枠の一般化が望まれるところです。


余談ですが、右のようにキャンバスを張った後の余りの部分を、木枠に沿って切り落とす方がいますが、これは絶対に避けるべき事です。キャンバスが緩んだ時に張り直しができなくなるからです。号数に関係なく2センチ以上は余分に残す必要があります。邪魔になったら、下のように、折り返してガンタッカーで留めておくとよいでしょう。

2015年1月7日水曜日

明暗をつけたデッサン

今回は、画家を目指して修行中のK.hさんが描いた明暗をつけたデッサンを紹介します。
すべてグレーの中間色の紙(キャンソン社製ミタント紙)に、木炭とチャコール鉛筆の黒と白で描いたものです。枚数を重ねるごとに、うまくなっているのが分かります。


1作目
明暗をつけたデッサン (424×348)


2作目
明暗をつけたデッサン (424×348)


3作目  制作過程も見ていきます。


まずは、いつもの通り線で形を出来る限り正確に描いていきました。大きな当たりは木炭を使い、細かい部分はチャコール鉛筆を使います。

グレーの紙の明度を基準にして、それより暗い所を木炭で大きく塗っていきます。この時、闇雲に現実の明暗を引き写すのではなく、デッサンの中でより効果的な明度関係と組み合わせを考えながら行うことが大切です。


明るい部分をチャコール鉛筆の白で描き起こし、全体の明度関係を確定します。


この後、擦筆やセーム革(またはガーゼ)を使い、浮いた木炭を抑えながら描き進めて、滑らかなグラデーションを作っていきました。















明暗をつけたデッサン (424×348)


3作目ですが、この手法で描いたデッサンとしてはかなり完成度の高い作品になりました。単にリアルな表現になっただけではなく、構図や明暗の配置もよく考慮されています。

まだ油絵は描いたことがないそうですが、どんな作品を作ってくれるか今から楽しみにしています。