2018年2月13日火曜日

見比べて描く。サイトサイズ法

今回はサイトサイズ法による石膏デッサンを紹介します。制作者はすでに画家として活躍されているU.hさんです。今までに様々な方法でデッサンを描いてきたそうですが、サイトサイズは初めての体験です。

サイトサイズのやり方については、すでにこのブログで説明(2011年7月9日アップ)していますし、昨年翻訳出版されたシャルル・バルグの「ドローイングコース」にも書かれているので、詳しい説明は省きます。

その基本は、モチーフの横にデッサン用紙を平行に並べて置き、一定の距離(画面の高さの約3倍)から見比べて描くことにあります。初心者の方にもデッサンの狂いが分かりやすく、上達の早い方法です。



最初は垂線を基準に、紐を使って石膏像を画用紙の上に平行移動するようにして、全体の形を取っていきます。





陰影を付けずに線だけで描くことで、形が曖昧にならないようにします。
















線で形が取れてから陰影を付けますが、現象的な陰影を追うのではなく、あくまでも形にボリュームや奥行きを与えるために、現実の陰影を利用するという気持ちで進めます。















コンパスや棒を使って対象と同じ寸法になるように徹底的に測り、見比べて確認する作業を繰り返します。


明部は石膏の白さ(明るさ)を表すために、塗り過ぎないように注意します。



フレンチ少女(530×450)画用紙に鉛筆



サイトサイズ法は西洋では昔からおこなわれていて、「対象を見て描く」デッサンの練習には合理的で分かりやすい方法です。
ただモチーフや照明などのセッティングが大変な上に場所も取るので、デッサンの基礎訓練が美大受験を通じておこなわれてきた日本では、定着しなかったのかもしれません。