2012年2月15日水曜日

日本で作られた最初の油絵具

美術史家の青木茂先生が、昨年学会誌に発表した論文の中に、日本で最初に画材の製造販売をした村田宗清のカタログについての記述がありました。年月が記されてないのですが、たぶん明治10年頃に作られたのではないかとのことです。



右の画像が、日本で初めて製造販売された油絵具です。美術史家のみならず、画家にとっても大変興味深いものではないでしょうか?





これは、画溶液と筆のページです。右から3行目に「メギルプ」と書いてあるのが読めるでしょうか?これは、19世紀にイギリスで多用された加熱リンシード(または胡桃オイル)とマスティック樹脂を混合して作られたゼリー状の画用メジュームです。すでに、明治時代の初期にメギルプが販売され、高橋由一などに使用されていたのは驚きです。また、左から2番目に「打筆」とあるのは、現在は使われなくなった筆で、ぼかしながら絵具を乗せて描くのに使うものです。アングルのような肌の滑らかなモデリングをするには、必要な筆です。








左ページに載っているのが、現実の情景を紙に投影して描ける道具で、いわゆる「カメラオブスキュラー」です。まさに驚愕のカタログです。













村田宗清の店があったのが、日本橋大伝馬町で、小伝馬町にある私たちの教室から200メートルほどの地域です。近じか教室あるビルの1階のお店(さとうストア)で、春蔵油絵具の販売をすることになりましたが、偶然とはいえ、何かの縁を感じる次第です。



2012年2月10日金曜日

赤いベネチアンガラス

対象を見ながらじっくりと時間をかけて,構図や配色を考えながら制作をするには、静物画が一番です。


アトリエ ラポルトでは、受講生の方々が感動をもって静物画に取り組んでいただけるように、モチーフの収集にも力を入れています。

















 今回Nさんが選んだモチーフは、赤いベネチアングラスです。これは、スタッフが行きつけの骨董店から捜してきたもので、映画を好きな方は往年の名画「旅情」を思い出されるのではないでしょうか?





構成は、ベネチアングラスを頂点とする三角形構図で、左右に布の形や小物を、バランスよく配置していると思います。














赤い色をテーマに配色を考え、赤を引き立たせるために、反対色のぶどうの緑色や本の青色を小さい面積で置いてありますが、非常に効果的です。































静物画は、ただ練習としてモチーフを描くだけでは、集中力が持続できません。自分なりに物語や情景を想いながら、楽しく描きたいものです。そんなモチーフとの出会いができると良いと思います。