2014年4月27日日曜日

幾何形体のデッサンから始める

今年の2月からアトリエラポルトに来て頂いているKさん(女性)のデッサンを2点紹介します。

絵を習うのは高校生以来とのことでしたので、最初に幾何形体のデッサンから始めました。











幾何形体は、縦横のプロポーションや遠近法を正確に測からないと、形が狂うことを理解するのに良いモチーフです。

また、明暗の配置やモデリングの方法を、じっくりと考えながら練習するのにも適しています。



幾何形体:画用紙(305×254)に鉛筆


丁寧に幾何形体を観察して描いた姿が伝わってくるようなデッサンに仕上がりました。形や明暗の的確な表現は、初めてのデッサンとは思えない出来栄えです。




続いて、白い静物を描きました。構図について若干の説明をしながら、自らモチーフを組んでもらいました。



幾何形体で学んだ対象の見方や明暗の付け方を応用して描いていきました。




白い静物:画用紙(305×254)に鉛筆



約15時間かかって出来上がりました。幾何形体同様の丁寧な仕事ぶりに驚かされました。高校生以来絵を習ったことがないと言うのがウソ(?)のようなデッサンです。


特にデリケートなモデリングによるボリュームの捉え方にKさんの資質を感じます。今後の絵の制作にも生かしていってもらえればと思います。



2014年4月20日日曜日

裸婦デッサン 2

アトリエラポルトの講師が描いた裸婦デッサンの紹介の2回目です。 



裸婦デッサン (550×375)



裸婦デッサン (550×375)



裸婦デッサン (550×375)


どのデッサンも中間色の紙(キャンソン社製 ミタント紙)にチャコール鉛筆の白と黒で描いたものです。このような手法は、白と黒による滑らかなグラデーションを作れるようになるまで練習が必要ですが、短時間でリアルなボリュームと空間を表現することが可能です。西洋では16世紀頃から行われるようになり、18世紀の画家プリュードン(Prud'hon,1758-1823)のデッサンがその代表的な例と言えるでしょう。




2014年4月13日日曜日

旅の思い出を描く

エスキース(オイル オン ペーパー)
旅の思い出を絵にすることは、絵を描く大きな喜びの一つです。

今回紹介する制作過程は、Yさんが数年前に行ったヴェネチアの思い出を、スケッチと写真をもとに教室で描かれたものです。

構図を決めたデッサンにマス目を入れて、キャンバスに転写しました。
現実に見た風景の色合いを、アトリエの中で記憶と写真を頼りに再現することは、非常に難しい作業です。大概の場合実感の伴わない単調な色になりがちです。 そこで今回は、あえて現実の色の再現を目差さず、暖色と寒色の形の組み合わせを造形上のテーマにして制作を試みてもらいました。
まずは、暖色の絵具だけで明暗をつけていきました。使用した絵具は、イエローオーカー、レッドオーカー、ローシェンナ、バーントアンバー、ネープルスイエロー、バーミリオンです。


暖色だけによる制作がほぼ出来上がったところです。この時のコツは、対象の固有色を無理に出そうとせずに、暖色の中にも冷ための色と暖かめの色があることを利用して、光と影や距離感に応じてそれらを使い分ける事です。



次に寒色を置いていきます。使った絵具は、セルリアンブルー、コバルトブルー、ウルトラマリン、ヴィリジャン、ローアンバー、ランプブラックです。

最も面積の大きい空から決めていき、それを基準にバランスを考えながら他の寒色の領域を配置していきました。


暖色の上に寒色を重ねる時は、べた塗りにならないようにパートのある絵具を点描画のように置いていきます。隙間から見える暖色が豊かなニュアンスを与えてくれます。




















ヴェネチア P15号


形と色の組み合わせが明快な絵に仕上がりました。

現実の色の再現から離れて制作することに違和感を持たれる方も多いと思いますが、美術史からみると後期印象派のゴッホやゴーギャンからナビ派やマチスに至るまで、現実の色の再現というよりも、色の効果を論理的に考えて表現しています。今回のYさんの制作方法は、そのような絵の方向に向かわれる際の手掛かりなるのではないかと思います。


2014年4月1日火曜日

裸婦デッサン 1

アトリエラポルトの講師が描いた裸婦デッサンを紹介します。 


どのデッサンも中間色の紙(キャンソン社製 ミタント紙)にチャコール鉛筆の白と黒で描いたものです。

          
裸婦デッサン (550×375)


裸婦デッサン (550×375)


裸婦デッサン (550×375)