2013年11月20日水曜日

石膏デッサンの描き方に疑問があって 【面冠女神胸像】

石膏デッサンの描き方に疑問があって、アトリエラポルトに来られたKさんの4作目の石膏デッサンを紹介します。


今回挑戦されるのは面冠女神胸像で、これも胸像として難度の高い作品です。


Kさんほど描けるようになると、最初の石膏像のセッティングが仕上がりを左右します。石膏像を見る位置や光の方向、そこから生まれる影の形や分量などを入念に決めてから、デッサンに入りました。




遠近法の枠を透して、大きな形を直線的に捉えていきます。
石膏デッサンを、大きな陰影で捉えることから始められる方も多いと思いますが、アトリエラポルトでは、シャルル・バルグ(Charles Bargue)の手本帳などに見るような、西洋の伝統的な「線から始まる」デッサンに基づいた方法で行っています。明部と暗部の境目も、形が曖昧にならないように意図的に線を入れています。
線で形が取れたら、モデリングをしてボリュームを出していきます。
前回の作品(髭の男)では、モデリングが少し荒かったので、より肌理の細かいモデリングと、形の前後関係を考えて線や明暗の強弱をつけるように注意しました。


「面冠女神胸像」 木炭紙大(650×500)の画用紙に鉛筆

約20時間かかって完成しました。

的確な形に、石膏の質感まで感じさせる、細部まで神経の行き届いた非常に完成度の高い石膏デッサンです。

特に注目すべき点は、背景を画用紙の白のままで残しているにもかかわらず、そこからもっと白い石膏像が浮き出てくるように表されているところです。これには、単に対象の盲目的な描写ではない、Kさんの緻密な造形的配慮があるからです。紙と鉛筆だけで描かれた作品ですが、そこには絵画の本質的な問題が含まれています。また、写真と絵画の違いを考える上でも、このような石膏デッサンは、大変有意義であると思います。












































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