2016年3月4日金曜日

初めての彩色

基礎デッサンからグリザイユへと段階を追って学ばれてきたK.nさんが、初めて色を使った油絵の制作過程を紹介します。



最初は基本どおり線で形を取っていきました。

一般的に油絵は明暗から始めるように指導される教室が多いと思いますが、アトリエラポルトではデッサンとの繋がりを考え、無骨に見えても形が曖昧にならないように線できっちりと捉えることから始めるようにしています。





次にシルバーホワイトとバーントアンバーだけで明暗を付けていきます。特に初心者の方はモチーフの色を明度で見ることに慣れていないのでこの過程を薦めています。



色は最も明るくて彩度の高いモチーフからつけていきます。

そしてこの明るさを基準にその他の色合いを決めるようにアドバイスしました。この進め方は、絵全体が暗く沈んだようになるのを防ぐのに有効な方法です。


全体に色が置かれた段階です。

この後、全体の明暗関係を調整しながら描き込んでいきました。

















青いピッチャーのある静物 (F6号)





















週1回(2時間半)の受講で約4ヶ月かかって仕上がりました。
時間はかかりましたが、大変完成度の高い作品になりました。初めての彩色した油絵としてはこの位描き込んであると作者の満足感も高いと思います。しっかりとしたマチエールに絵具の発色も大変綺麗です。ただ、個々のモチーフが若干置かれている空間から独立して切り離されているように見えます。コントラストの抑制やモチーフ相互の色の響き合いをいかに作るかが次の作品の課題となるでしょう。


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