2021年10月3日日曜日

レーマー杯を描く

今回は最近アトリエラポルトのモチーフとして購入したレーマー杯を描いた作品を紹介します。作者はアトリエラポルトの中ではベテランのKさんです。


レーマー杯は17世紀のオランダ絵画によく現れるワインを飲むためのグラスで、握るところに滑らないように凹凸があるのが特徴です。

モチーフのレーマー杯は珍しい特大サイズ(高さ26.5㎝)の物で、回し飲みに使うグラスのようです。





最初にデッサンを顔料フェルトペンを使ってキャンバスに定着します。



カッセルアースで明暗を付けた後、シルバーホワイトで明部を描き起こします。
この時、着色層の発色を良くする為に、現実の明度よりもかなり明るめにします。



モノトーンで明暗を付けたら、固有色をおいていきます。



絵具の透明な層と不透明な層を交互に塗り重ねながら現実の色合いに近づけていきます。






レーマー杯のある静物(455×273)



約20時間で完成しました。週に1度の受講なのでその間に絵具が中途半端に乾いてしまい、ツヤ引けがおこったり滑らかなモデリングができなかったりと苦労されました。ルツーセや溶剤の濃度を調整しながら描き込んでいき、結果的には発色の良い絵に仕上がりました。技術的にはうまくいったと思いますが、形や明暗の組み合わせといった構成にもっと工夫が欲しいところです。現実の明度(Valeur)を追う前に、明・中・暗の単純化した明暗の組み合わせで構図を考えてみるとよいでしょう。


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