最近教室で受講生にプロセスを公開しながら、19世紀中頃にイギリスで描かれた絵の修復をおこないました。今回はその過程での画面のクリーニングについて、2回にわたって紹介します。
この時代に描かれた絵は、後世に何らかの修復を受けていることが多いのですが、この作品は珍しく当時のままの状態で残されていました。そのために、表面のニスの劣化が酷く、画像がわからないほどに暗く変色してました。150年ほど経つとニスがどのようになるかがわかります。
額も当時のままのようです。
額とキャンバスの隙間をコルクで調整しているのに時代を感じます。
幸い絵具の剥離はわずかで、キャンバスも裏打ちの必要がないほど良い状態でした。
ニスの除去にあたっては、さまざまな溶剤を弱い順に試してみて、適度に反応する組み合わせをさがします。ニスの良く取れる溶剤は綺麗にしやすい反面、オリジナルの絵具も溶かしてしまう恐れがあります。その判断は難しく、修復家の技量と考え方が問われるところです。
溶剤が決まったら画面の隅からクリーニングを始めます。
とりあえず、半分までクリーニングをおこないました。
0 件のコメント:
コメントを投稿