今回はアトリエラポルトでおこなわれた絵の修復を数回に分けて紹介します。
絵は1850年頃に描かれたと推測できるもので、作者は不明ですが額の裏の書き込みやシールからイギリスで制作されたようです。
額を外して調べてみると、過去の修復によって裏打ちされている上に、切り取られていたことがわかりました。
画面は全体的にニスの経年変化で黄変し、背景にビチュームの使用によると考えられるひび割れがあります。
過去の修復による補筆の痕も見受けられます。
幸い裏打ちはしっかりしていて、現状における絵具層の浮きや剥離はありません。
そこで今回は次の修復作業をおこなうことにしました。
・黄変した古いニスを除去して、新しいニスを塗る。
・欠損箇所と目立つヒビを補筆により目立たなくする。
ニスの除去は、どのような溶剤でおこなうかの選択が最も重要で難しいところです。
4〜5種類の溶剤を弱い順に組み合わせて、ニスの反応をみます。
結果、この絵にはキシレンとジメチルホルムアミドの混合液を使うことにしました。
つづく。
0 件のコメント:
コメントを投稿