今回は前回紹介したグリザイユと同じモチーフを、三原色を基に色の再現を試みた制作過程を紹介します。色数を制限しているため現実と同じような鮮やかな絵にはなりませんが、写実絵画における明暗(Valure)と色(Coulre)の関係を理解するのに良い方法です。
使用する絵具は、黄色:イエローオーカー、 赤色:レッドオーカー、青色:コバルトブルーの三原色に、白:シルバーホワイト、そして黒の代わりにバーントアンバーを使います。
現実空間の再現には正確に明度を捉える必要があります。ところが鮮やかな色は実際の明度より明るく感じてしまいます。例えば彩度の高い赤は明るく感じますが、実際の明度は意外なほど低いものです。
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左のグレーと水平線上にある色が同じ明度です。 (PCCSハーモニックカラーチャートより) |
上記の絵具の三原色だけで描くと鮮やかな色にできない分、明暗の把握がしやすくなります。また、実際のモチーフの色彩感に近づけるための色の対比や組み合わせの練習になります。
明暗が的確に再現されると僅かな色数でもリアルな表現が可能です。
完成。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhlicICIYxB85eZQIfPiZs8zCqlhxed7mOmK5n2fonOhhj32dNu9SM4ifFCymoENCad0VFQgA2UrbqtwqDNgduLMnuAtYz8xbkzmAxHSQOi45PAmk0Y7LQecu9qUhB3n72643lWY-5AXG6M8nDw2nXJp5CESoBu2bNkMEyOgrG3d7mlf3Hz1DKb5u5ommk/w291-h400/thumbnail_image0.jpg) |
ブドウとホオズキ (F4号) |
Tさんにとっては初めての多色による油絵で、試行錯誤しながら制作したのが分かる仕上がりになりました。この経験を通じて、現実の再現的な絵における明暗と色の関係を理解して頂けなのではないかと思います。次回の制作から徐々に彩度の高い色や三原色の間の色を加えていって、より色彩的で発色の良い絵を目指していくと良いでしょう。
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