2011年10月21日金曜日

ポール・セルジエの色彩論によって 5


描く側も教える側も試行錯誤を繰り返しながら、ようやく完成に至りました。

色の濁りがない発色のよい作品に仕上がったと思います。 また、パレット上の絵具を寒色と暖色に分けて扱うことによって、寒暖の対比が強く意識され、色彩効果の高い絵となりました。

セルジエのこの色彩方法は、実際に使ってみると、ドニに代表されるナビ派の表現を念頭に考えられているのが分かります。不透明な色を色面で置いったナビ派の画法には、セルジエのやり方はとても合理的です。反面、セルジエのグレーを混ぜると、どの色も不透明になり、油絵具の特徴である透明性を生かした描き方にはむきません。Yさんは、今までクラシックな技法をベースに描かれていたので、戸惑われたことと思いますが、結果的には充実した仕上がりになりました。今後の課題としては、対象をを整理したり、色面で構成するなどして、より明確な形と色彩の表現を追求していくことが上げられます。


























2011年10月12日水曜日

絵画教室 アトリエ・ラポルト 作品紹介 1

今年の春から夏にかけて、教室で描かれた作品を紹介します。




M20号 (制作時間:週5時間で約3か月)





M12号 (制作時間:週2時間半で約2か月)




M15号 (週2時間半で約3か月)

2011年10月7日金曜日

ポール・セルジエの色彩論によって 4



パレットの中央に黒いテープを貼って、右側に暖色系の絵具、左側に寒色系の絵具を並べ、お互いを混ぜ合わせないよう注意する。 

絵具は必要な絵具だけを出して使うのではなく、常に全色をスペクトルの順序に従って置くように心がける。 














空は、全体としては青い寒色の扱いであるが、部分的には暖色を並置して(特に雲の明るいところなど)、単調にならないようにする。













空との色彩的な対比を考えながら、暖色系で建物の着彩を進めていく。















影の部分も、ただ明度を落として暗くするのではなく、光の当たっている明部との色彩的な対比を考えながら決めていく。

2011年9月30日金曜日

ポール・セルジエの色彩論によって 3


今回から、セルジエの色彩論を応用した制作の過程を紹介していきます。


キャンバスと同じサイズの画用紙にデッサンを描き、トレーシングペーパーを使ってキャンバスに転写する。




転写したデッサンを、溶き油に少量の絵具をまぜてなぞりながら定着させる。










モノトーンで、明暗の組み合わせとバランスを考えながら、陰影をつける。












空から色を着け始める。 寒色の絵具と暖色の絵具が混ざらないように、点描のように絵具を置いていく。

2011年9月21日水曜日

水性の地塗りを求めて 2

今回は、実際の作業を説明します。


1.湯煎して溶かした膠を、温かいうちにボードの両面に塗る。














2.乾かしてから、画面となる側に再度膠を塗る。
乾かないうちに、ボードの周囲より3センチほど大きく切ったハトロン紙にも膠を塗り、気泡が入らないように手のひらで、空気を抜きながら慎重に腹合わせる。





3.再び乾かし、周囲にはみ出たハトロン紙をカッターで切り取ってから、100ccの膠水に対して40gの白亜を加えてよく混ぜた地塗り塗料を、刷毛で素早く塗る。









左:2度塗り  右:4度塗り
4.希望の白さになるまで、「乾かして塗る」を繰り返す。より早く白くしたい時には、白亜にリトポンまたは亜鉛華を加えてもよい(50%)

2011年9月16日金曜日

水性の地塗りを求めて 1

  グリザイユを始めたTくんは、市販のキャンバスでは思うような塗り重ねができなかったので、水性の地塗りを一緒に作ることにしました。

市販の油性キャンバスは、ダイレクトペインティングや古典絵画などのように、油絵具を生乾き状態で塗り重ねていく技法では、絵具の油の吸収性が弱く、樹脂を加えるか、ある程度乾かないと、下の絵具が動いて塗り重ねができません。その点、水性の地塗りは油を吸収し絵具が固くなり(乾燥はしていませんが)、すぐに塗り重ねが可能な状態になります。

水性の地塗りには、さまざま方法がありますが、なかでもグザビエ・ド・ラングレが薦めている白亜(ブラン・ド・ムードン)と兎の膠のよる処方は、油絵具との相性もよく、理想的な地塗りといえるでしょう。ただし、キャンバスなど布製の柔らかく収縮のしやすい基底材は、ひび割れや剥離を起こす原因となるので、木製の硬質な基底材が必要です。

白亜と膠水(10%)
今回は、10ミリ厚のMDFボードに、ラングレの処方どおりの地塗りを施しました。MDFボードは、木質要素が小さい為、きめが細かく、薄い地塗りでも平滑な画面を得ることができます。反面、水分に弱く、一度反ると元に戻らないので、10㎜厚で4号程度が限度です。


用意するもの
・兎膠(トタン膠)または皮膠  10g
・水                100cc
・白亜                40g
・MDボード(10㎜厚)F4号サイズ
・筋入りハトロン紙


板状の皮膠




*板状の膠は、砕いて水に一昼夜つけた後、湯煎して溶かす。


2011年9月2日金曜日

ポール セルジエの色彩論よって 2

セルジエの指定した絵具は下記のとおりです。

セルジエのパレット
暖色 Chrome1(クロームイエロー)
Chrome2(クロームオレンジ)
Chrome3(クロームレッド)
Vermillom
Laque de garance foncée
Terre d’ombre brulée
*暖色のグレー Antimoine + Terre d’ombre bruléé

寒色 Strontiane 
Strontiane + Cobalt 1
Strontiane + Cobalt 2
Cobalt
Bleu de Prusse
Bleu de Prusse + Laque garance foncée
*寒色のグレー Blanc + Noir + Strontiane

また、パレットは、暖色用と寒色用を用意して、お互いが混ざらないように注意をしています。


今回は、Yさんがすでにお持ちの絵具を使い、クロームからカドミウムに、緑色はカドミウムとビリジャン、青色はウルトラマリンに代え、コバルトヴァイオレットを追加しています。 パレットを、真中から左右に暖色と寒色に分けて絵具を置くことにしました。


テーマは、Yさんがプラハに旅行された時の風景です。