2012年3月30日金曜日

石膏デッサンを極める

すでに画家として活躍しているHさんは、石膏デッサンを極めようと、ホーマー像にチャレンジしました。


















ホーマー胸像(650×500) 画用紙に鉛筆

約15時間かかって完成しました。途中でモデリングを強く描き過ぎて明部が暗くなったり、反射光を明るく扱い過ぎてボリュームがなくなったりしましたが、最後は完成度の高い素晴らしいに石膏デッサンに仕上がりました。



























背景を描かないデッサンでは、背景となる紙の白よりも、石膏を白く明るく感じさせないといけません。 ここに、現実の引き写しだけでは成り立たない、絵の本質的な問題の一端が表れます。暗い領域で囲まれた中は、外側より明るく感じるという視覚認識の性質や、ハーフトーンやモデリングをよりデリケートに扱うなどの造形的思考が必要となります。写実的な絵と写真との境が曖昧になってしまった昨今ですが、ラファエロやアングルなどのデッサンに代表されるような古典絵画のリアリティの背景には、さなざまな画家の造形上の秘密がかくされています。石膏デッサンは、そのようなことを学ぶにも良い方法だと思います。

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