今まで人物を中心に絵を学ばれていたMKさんが、久しぶりに静物画を描かれました。その制作過程を紹介します。
![](http://4.bp.blogspot.com/-fgwMv6zgirQ/UqExbDOmBHI/AAAAAAAACg0/RJrrKD3gn2Y/s320/%25E7%2594%25BB%25E5%2583%258F+593.jpg)
人物画はモデルさんの都合で、なかなか見ながらじっくりと制作することができないものです。
その点静物画は、時間の許す限り、形や色の組み合わせを考えながら描き続けられるので、「対象を見て描く」という絵の基本的な訓練に適しています。
人物画を描かれていたMKさんには、物足りないモチーフかも知れませんが、あえてシンプルで明快な構成にして、じっくりと時間をかけて制作して頂きました。
まずは、キャンバス(P8号)と同じ大きさで、画用紙に鉛筆デッサンをしました。
![](http://2.bp.blogspot.com/-vTHAdsiChlI/UqExb66WROI/AAAAAAAACg4/PoUjzGYJzPE/s320/%25E7%2594%25BB%25E5%2583%258F+594.jpg)
デッサンをトレーシングペーパーを使ってキャンバスに転写した後、カッセルアースとシルバーホワイトで、明暗をつけていきます。
![](http://3.bp.blogspot.com/-vHKhQ4LFjrY/UqExdMVrEGI/AAAAAAAAChI/x6VzjE2LjcQ/s320/P9072298.JPG)
明暗が決まったら、その上から少しずつ色をかけていきました。使用した絵具は、イエローオーカー、レッドオーカー、ウルトラマリン、ヴィリジャン、クリムソンレーキです。
![](http://4.bp.blogspot.com/-OTk4IKk3qPY/UqExdlya53I/AAAAAAAAChQ/HIcWPHxSGak/s320/P9212388.JPG)
描き進むにつれて、彩度の高いカドミウムやコバルト系の絵具を加えて、ハイライトを中心に描き起こしていきました。
![](http://4.bp.blogspot.com/-1xInwcmen3c/UqExfpMbP0I/AAAAAAAAChk/HJZrV2gNh-k/s320/PB162668.JPG)
Mさんは、1週間に半日のローテーションで制作されたので、加筆用二スを使って、つや引けの調整をしながら描いていきました。 加筆用二スは、様々なものが市販されていますが、アトリエでは、ターレンス社の“Retouching Varnish” をペトロールで1:1に割ったものを薦めています。 また、下の層を生乾きのような状態にして加筆したい時には、溶き油を薄めて塗るのもよい方法です。
![](http://3.bp.blogspot.com/-O7Fcd9io7ic/UqExeZH7BxI/AAAAAAAAChY/4wccBkkQZxY/s320/PA052450.JPG)
バラの花はこの絵の主役です。リアルに表現しようとして、花びらを1枚1枚描こうとすると、かえって形が狂ってくるものです。おわん型の基本形態を、光と影で表すつもりで見ることが大切です。
![](http://2.bp.blogspot.com/-19HsJXw63jE/UrG5cW6WRkI/AAAAAAAACic/4DeB4H4uwAY/s400/PC192877.JPG) |
薔薇 P8号 |
8号の大きさのシンプルな構成の作品ですが、デッサンから始めて約30時間かけて完成しました。
しっかりと対象を見ながら、粘り強く制作された成果が表れた作品になりました。 そこには、写真をトレースしたリアリティとは違う、対象の存在感と作者の目が感じられます。より一層「見る」ことを深めていって頂ければと思います。
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