2015年4月11日土曜日

多色の油絵へ

今回は、デッサン→グリザイユ→三原色による油絵と進んできたK.yさんが、より自由な色の表現を求めて制作された作品を紹介します。



最初にキャンバスと同じサイズの画用紙に構図を考えながらデッサンしました。

描き上がったデッサンをキャンバスに転写するために、デッサンの上にトレーシングペーパーを置いてなぞります。



写し取ったトレーシングペーパーの裏から、油絵具のレッドオーカーをペトロールで溶いたものを塗り、乾いてからキャンバスに合わせてボールペンでデッサンをなぞると転写できます。



















いよいよ着彩に入りますが、対象を見て描く写実絵画ではモチーフの配色が重要なポイントです。今回は初めてなのでカラフルなモチーフを多く使うわずに、グリザイユの延長として、支配色(ドミナントカラー)の背景を中心に、反対色(トニックカラー)のモチーフを置くシンプルな色構成にしました。


使用した絵具は、ネープルスイエロー、イエローオーカ―、レッドオーカ―、バーントアンバー、カッセルアース、ウルトラマリン、ヴィリジャン、ランプブラック、シルバーホワイトです。











転写したデッサンにカッセルアースで影をつける事から始めました。






背景から色を決めていき、オブジェの描写へと移りました。















オウムガイのある静物  (M10)



約40時間かけて完成しました。

デッサンをきっちりと学んでこられただけあって、油絵に移ってからの上達の早さに驚きます。こってりと油絵具を塗り重ねて、しっかりとしたマチエールと鮮やかな発色の絵になっています。

構図も直角三角形の構造線を基準に、各モチーフがバランス良く配置されています。


難を言えば、各モチーフの描写に対して、背景とテーブルをフラットに扱い過ぎていると思います。布とか板の壁とか具体的なイメージの表現が欲しいところです。



とは言え、油絵を始めて5枚目の作品でこの完成度は「凄い!」














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