2015年6月4日木曜日

カマイユ

デッサンからグリザイユへと順を追って学ばれてきたK.rさんが、今回は静物をカマイユで描いてみました。その制作過程を紹介します。


カマイユ(Camaieu)は、明暗だけで表現した単色画の総称で、イタリア語でバーレリーフを意味していた「カメオ」から派生した用語です。その意味からするとグリザイユもカマイユに含まれますが、一般的には茶色や褐色系統の色合いで描かれたものを指すことが多いと思います。






まずは、キャンバスと同じサイズの画用紙に入念にデッサンして、それをキャンバスに転写しました。
基本的な描き方はグリザイユと同じですが、茶系の絵具は、白を加えると冷たくなったり、溶き油で透明に扱うと暖かくなったりと、色味の振幅が激しいものです。そこを調整しながら描いていくのが難しいところです。

今回は、ヴァンダイク・ブラウン(ニュートン社製)とシルバーホワイトに、色合いの調整としてアイボリーブラックを加えました。


モチーフの色に惑わされずに明暗に置き換えて描いていくのに苦労されたようですが、リアルな絵画表現を目指すには欠くことのできない訓練です。













カマイユによる静物画 (F6号)



油絵に移ってから2枚目の作品ですが、非常に良い出来栄えです。絵具の厚みがもう少し欲しいところですが、明暗の変化や寒暖の調整がデリケートで美しく、すでにK.rさんの持ち味が表れているように思います。次回の制作を楽しみにしています。


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