この試みは、アトリエラポルトで参考にしているアンリ・バルツ著「デッサンの文法」の色彩調和の原理"ニュアンスのシンホニー”からの応用です。(Henry Balth:Grammaire du dessin)
本文を要約すると、
「色相は1色だけに限定されるが、そこには多くのニュアンスが与えられる。際立った色のコントラストはないが、隣り合う色相の控えめな干渉によって作らえる。効果は単純なモノクロームのグリザイユよりも、より豊かになる。」
この練習にはいく通りもの方法がありますが、今回は暖色の絵具(レッドオーカーまたはバーントシェンナ)と寒色の絵具(コバルトブルーまたはウルトラマリン)を使った最も寒暖の差のでる(ニュアンスの幅のでる)やり方です。
左はレッドオーカーとコバルトブルーの混色にシルバーホワイトを加えて作ったグラデーションです。絵具の混色では、中央のグレーのように混ぜ方によってニュートラルグレーを作ることができます。
このグレーを基準に、光の当たっている部分や手前の部分は左側の暖かいグレーで、影や奥の部分は右側の冷たいグレーを使うことで空間やボリュームがより強調されると共に、光の輝きや空気感も出しやすくなります。
色による表現を色相の違いや補色から言うことはあっても、暖色と寒色で考えることは少ないと思います。
しかし、明度の変化を寒暖に置き換えて考えてみることは、現実を絵に転換するには何が重要か、明度と色の相対的な関係とは何か、を学ぶ上で重要です。
それは単に見た印象を描くのではない、絵画独自の表現方法を考えるきっかけになると思います。
今回の使用絵具
シルバーホワイト
バーントシェンナ
コバルトブルー
準備段階として、バーントシェンナとコバルトブルーを混色してニュートラルグレーを作ります。これを基準にして、暖かいグレー(暖色)を作るにはバーントシェンナ、冷たいグレー(寒色)を作るにはコバルトブルーを加えます。
キャンバスにデッサンをした後、背景から始めます。この時のグレー(冷た目)を画面上での相対的な寒暖の基準にして描き進めました。
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