2023年6月19日月曜日

人体の描き方を模写から学ぶ(前編)

 今回は人物画の練習方法の1つとしての模写の制作過程を紹介します。

作者のMさんはアトリエラポルトのカリキュラムを一通り終わって、数か月前から毎週土曜日の夕方に行われている人物デッサン会に参加して人物画の練習をしています。しかしそこでは十分に時間をかけた油絵の制作を学ぶのは難しいので、授業の中で模写によって足りない技術を補う試みをしてみました。


本来ならば模写は実物の絵を見ながらおこなうべきですが、ここではデッサンの延長線上としてアカデミックな画家がどのように人体を捉え描き表しているかに目的を絞り、色やマチエールの再現は写真からはできない前提で進めました。


まずは、グレーの中間色にしたキャンバスに鉛筆でデッサンを写します。


原画はドラクロワ(1798-1863)がゲランの画塾で修行中に描いた裸婦像です。当時のアカデミックな規範に従って描かれた習作です。解剖学的に正確な形態とモデリングを追求しているのがよくわかる作品です。



鉛筆デッサンができたら、溶き油を含ませた筆でなぞってキャンバスに定着します。



カッセルアースで下塗りのグレーを生かしながら背景から絵具を置いていきます。



シルバーホワイトを加えて、一旦人体をグリザイユのように描いていきました。



この過程は原画ではおこなわれていませんが、色に惑わされずに人体の形を学ぶ意味から、出来る限り正確に時間をかけて取り組んで頂きました。


後編に続く。


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