2025年8月8日金曜日

1903年のローマ賞出品作品

 今回は1903年におこなわれたローマ賞の最終審査に出品された絵を紹介します。

この作品は受講生の方が海外のギャラリーから購入したもので、現在アトリエラポルトで修復作業をおこなっています。


作者は、Charles-René DARRIEUX  (1879-1958)というフランス・ボルドー生まれの画家で、1903年のローマ賞に応募して最終審査の10人に選ばれて制作したのがこの作品です。残念ながらローマ賞は取れませんでしたが、当時のパリの美術学校の教育を知る上で大変貴重な絵画です。


テーマは「放蕩息子の帰還」で、縦145 cm 横114、5cmのキャンバスに描かれています。


ローマ賞は、1663年にフランスで創設された言わば画家の登竜門で、受賞者は3〜5年間ローマ留学ができる制度になっていました。創設時から20世紀初頭までのフランスの美術学校は、ローマ賞を目指して教育をおこなっていたと言ってよく、その到達点を調べることは、アカデミックな絵画がどのように作られていたかを学ぶ上での最良の手段と言えるでしょう。


初見では、すでに印象派を通り過ぎた時代の作品なので、色使いにその影響が見受けられました。

また、19世紀後半に流行ったインパスト技法が使われています。


これから時間をかけて修復(おもに画面のクリーニング)をおこないながら、技法、デッサン、彩色法、構図法などを調べていきたいと思います。いずれは、1階のギャラリー・エスパス・ラポルトで公開したいと考えています。


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