2020年11月29日日曜日

人物画(コスチューム)の描き方:第4回目の配信

 人物画の描き方(コスチューム)の第4回目をYouTube上で配信をおこないました。。

今回は、デッサンを転写したキャンバスにモデルさんを前にしての着彩過程です。

油絵にはいろいろ描き方がありますが、ここでは短時間で仕上げれられるダイレクトペインティングの手法をとっています。


使用絵具:

シルバーホワイ、チタニュームホワイト、ネープルスイエロー、イエローオーカー、レッドオーカー、カドミウムオレンジ、バーミリオン、コバルトブルー、バーントアンバー、アイボリーブラック




2020年11月14日土曜日

人物画(コスチューム)の描き方:第3回目の配信

 人物画の描き方(コスチューム)の3回目をYouTubeで配信をおこないました。

今回は、完成したデッサンをキャンバスに転写する過程です。

転写にはさまざまな方法がありますが、ここではトレーシングペーパーを使った最もオーソドックスなやり方を説明しています。

キャンバスに直接デッサンをする方も多いと思いますが、デッサンを重視するアトリエラポルトでは、受講生にもこのやり方を薦めています。




2020年11月8日日曜日

コレクション:19世紀のエスキース


 今回のアトリエラポルトのコレクションは、19世紀におそらくローマ賞コンクールに関連して描かれたと考えられる油彩エスキース(下絵)を紹介します。







「トゥッルスの家のコリオラン」 作者不明(320×250)


大きさは4号ほどで、テーマはローマ時代の英雄コリオランの物語の一場面を描いたものです。


古くから画家の登竜門として知られるローマ賞コンクール(フランス)の資料を調べると、1827年にフランソワ・グザビエ・デュプレ(Francois-Xavier Dupre)が同じテーマで受賞しています。

この時の受験生のデッサンの中に同じような構図を見ることができます。

ローマ賞の最終審査は油彩による歴史画で行われてきましたが、そこに至るまでにデッサンから油彩エスキースの過程を踏まえることが義務付けられていました。今でもパリの美術学校には膨大な量のデッサンと油彩エスキースが残されています。



日本では西洋画の受容が印象派から始まった為に、このように構想をデッサンにし、油彩エスキースでより具体的な表現へと高めていく教育方法が、ほとんどおこなわれてこなかったと思います。


アトリエラポルト所蔵の油彩エスキースは、昔日のアカデミックな美術教育の名残を伝えてくれています。

余談になりますが、このエスキースは過去に修復を受けています。


釘で打たれたキャンバスは裏打ちのもので、その上に目の細かいオリジナルのキャンバスを貼り付けています。画面のひびの状態から、巻いて保存されていたのかもしれません。


木枠もその時のものだと推測できますが、現代の木枠と作りが違うのがよく分かります。
画材を考える上でも貴重な資料になっています。


2020年11月1日日曜日

人物画(コスチューム)の描き方:第2回目の配信

 人物画(コスチューム)の2回目をYouTubeで配信をおこないました。

今回は、中間色の紙に描くデッサンが完成します。

中間色の紙に、黒(木炭、チャコールペンシル、コンテなど)と白(チョーク、パステルペンシルなど)で描くデッサンは、短時間で形とボリュームを表すことができます。

その描き方の一つの例として、見て頂ければと思います。




2020年10月26日月曜日

アトリエの道具と画材:デッサンのための測り棒

今回の「アトリエの道具と画材」は、アトリエラポルトで考案したデッサン用の「測り棒」を紹介します。

対象を正確に再現する事を目的とした基礎デッサンでは、まずは徹底的に「測る」ことが必要です。そこで昔からさまざまな方法や道具が考えられてきましたが、そのもっともシンプルで誰もが使うのが、測るための棒です。
細くてまっすぐな棒ならなんでもよく、竹ひごや編み棒、自転車のスポークや長めの鉛筆でもかまいません。

次の挿絵は、1888年に出版されたエドモンド・ヴァルトンの「デッサン」からのものです。
(Edmond Valton:LE DESSIN 1880)


そこで問題となるのが測り方です。
通常はヴァルトンの挿絵のように、腕を伸ばして測り棒を垂直に立てて基準となるパーツ(人物で言えば頭部)の長さを測り、位置を指で固定して他の部分と比較しながら測っていきます。
しかし指での位置決めはずれやすいので、それがもとでデッサンが狂うことがしばしばおこります。

そこで、アトリエラポルトでは、竹ひごに釣り具用のゴム管を通して可動式の目印をつけた測り棒を考案しました。


この「測り棒」だといったん決めた基準が動かずに定規のように使えます。
前回配信した動画の中でも使っているので、ご覧頂ければ測り方が分かると思います。



また目印のゴム管を3つにすることで、現実の基準とデッサン上での基準を分けて作れますし、ジョン・デマーティンの薦める光学縮小方式にも応用できます。

ジョン・デマーティン著「古典に学ぶ人物デッサン」より

ちょっとしたことですが、長年デッサンを描き、教えてきた中から生まれたアイデアです。デッサン上達の役に立てば幸いです。


2020年10月17日土曜日

制作動画の公開:人物画(コスチューム)の描き方

 久しぶりにYouTubeを通じて、ラポルト講師による制作過程の動画を公開します。

今回は民族衣装を着た女性がモデルです。

デッサンから油絵の制作まで全6回を隔週で配信する予定です。

参考になれば幸いです。






2020年10月4日日曜日

基礎デッサン


今回は、遥々九州から絵を学びに上京されてきたHさんの基礎デッサンの制作過程を紹介します。

アトリエラポルトでは、基礎デッサンの最初は固有色に惑わされずに形が描けるように、白物のモチーフから始めます。


遠近法の枠を使って形と位置関係を確認した後、個々のモチーフの形を中軸と内接する矩形を基準に捉えていきます。


現実のモチーフ、特に自然の果物などの輪郭は微妙な起伏でできていますが、デッサンの始めはできるだけシンプルな直線と曲線に還元して、その接合によって形体を表すようにします。



現象的な陰影や目の錯覚に惑わされずに、光源の方向を考えながら形のボリュームが出るように陰影をつけていきます。


基礎デッサン 画用紙に鉛筆(530×455)






アトリエラポルトで学び始めてからまだ2~3枚目のデッサンで、質感の表現などに難点もありますが、時間をかけて丹念に仕上げられています。初歩の段階では、できるだけ枚数を描くことも大切ですが、アトリエラポルトでは闇雲に量を描くよりは、時間をかけて見方や描き方が納得いくまで描いて頂くようにしています。