2013年10月23日水曜日

公募展を目差して、大作を描く (2)



明暗が定まったので、着彩に移りました。パレットには、古い時代からの基本色、イエローオーカー,レッドオーカー,バーミリオン,カッセルアース,バーントアンバー,ランプブラック,に、カドミウム系やヴィリジャン・ウルトラマリン・ガランス等の好みの絵具を加えて並べます。
















グリザイユで下書きをした場合、上層にくる色彩層が鈍くなる傾向があります。これを防ぐために、ハイライトから周囲に、波紋が広がるようにモデリングしていきました。使った絵具は、シルバーホワイトに少量のバーミリオンとイエローオーカーです。何度か繰り返すことにより、ハイライトを中心に、明るい所の絵具が厚くなり、輝くような明部になってきました。(詳しくは、2013年2月15日のブログ「模写をする・8」を参照)














刺繍の布は、画面全体の支配色であるブルーグレーに対して、補色となる彩度の高い黄色を選びました。





















大きい絵は、注意しないと画面に近づいて絵具を塗る作業に追われて、全体のバランスが崩れたり、デッサンが曖昧になってきたりします。できるだけ作品を離れた位置から見るように心がけて、制作を進めていくことが大切です。


















白い服を、綺麗に描くコツは、皺の明から暗への移行部に、軽くウルトラマリンをグラッシして、この色味を基準に、明るいところは、白にネープルスイエローやローシェンナなどを微量加えて、暖かみのある白で描くことです。そして、影の中の反射も、ちょっと暖かくすると効果的です。



「刺繍」 F100号
長い期間に渡り、根気強く制作された成果が作品に現れています。特に、色の組み合わせに、Kさんらしい色彩感覚が出ています。絵具の発色も鮮やかです。これに明暗の扱いが、距離やボリュームに従って、よりデリケートに変化すると、もっと良くなると思います。次は、どのような大作を描かれるのか、今から楽しみにしています。


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