2014年8月8日金曜日

人物画 : コスチューム

今回は、公募展に出品されているK.sさんが、その団体の支部展のために描かれた作品の制作過程を紹介します。

ご自身で衣装の購入とモデル選びをされた後、教室を半日借り切ってセットとポーズを決めました。


大きな絵は時間がかかる上に、経済的にもモデルさんを常に見ながら描くのは不可能なので、写真を使って制作を進めていき、必要になったらモデルさんを再度お呼びすることにしました。
















膠引きのキャンバスに、シルバーホワイト・ランプブラック・レッドオーカーでグレーを作り、パレットナイフで平滑に地塗りした上に、鉛筆でデッサンをとりました。(このような油性の地塗りの乾燥には、最低1カ月必要です)











カッセルアースにレッドオーカーで色味の調整をしながら明暗を付けていきました。


明部はシルバーホワイトで描き起こします。

顔の正面が影の中に入る構図なので、影の明度をどの位にするかが非常に難しいところです。

いったん暗めにエボーシュした上に、肌の固有色を重ねていきました。

肌色は、シルバーホワイトにレッドオーカー、イエローオーカーを混色して下色を塗って、バーミリオン加えてハイライトに向かってモデリングします。ハイライトは、白にネープルスイエローで置きました。
髪の毛は、茶髪だったのでバーントアンバー、レッドオーカー、イエローオーカーで作りました。

髪の毛の1本1本の描写より、骨格に添ったボリュームを表現することが大切です。

コスチュームの柔らかなひだの表現に苦労されました。















P30号

週1回午前・午後(5時間)で、約4ヶ月で完成しました。衣装などの細部に描き足りない感じはありますが、全体的にはK.sさんらしい様式化された表現に仕上がりました。それは、単に写真的なリアリティを目指すのではなく、平面としての画面に対して、背景・人物・赤い布・カウチなどの形と色の組み合わせを考えた結果だと思います。このような見方は、ナビ派などにも共通する点があるので研究してみると良いでしょう。

今後の展開を楽しみにしています。






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