今回は、初めて使った木炭によるデッサンの過程を紹介します。
日本では一般的に木炭デッサンというと、白い木炭紙に木炭の腹を使って黒々と描くのが主流ですが、アトリエラポルトでは、中間色のミタント紙(キャンソン社製)に、白コンテまたは白チョークを加えて描いてもらってます。こうすると、明度段階のコントロールがやり易くなる上に、木炭で塗りつぶす手間も省略できます。
この方法は、19世紀後半のヨーロッパの美術学校で広く行われていました。左は、アトリエラポルトで所蔵している1880年代のフランスの石膏デッサンですが、同じ方法で描かれているのが分かります。
M.mさんにもこのやり方で描いて頂きました。
まずは、線で出来るだけ正確にモチーフの形を捉えていきます。
次に明暗を付けていきます。
紙の明度を基準にして、それより暗い所を木炭で塗り、明るい所は白コンテで起こします。ご覧のように明暗関係がはっきりとなり、形や空間も表れてきました。
写実的なデッサンや絵では、この段階でのモチーフの配置や明暗の組み合わせがうまくいってないと、どんなに細密描写しても良い作品にはなりません。
描き込んで仕上げていきます。
木炭では引きにくいシャープな線は、黒のチャコール鉛筆で補います。
苺のある静物 333×242 |
約15時間で仕上がりました。
始めは木炭で形を取るのに苦労されていたようですが、結果的には、形がしっかりとした、明暗の諧調も的確なデッサンになりました。木炭の扱いに慣れてくればもっとリアルな表現も可能です。
油絵の制作に、また一歩近づいたと思います。
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