2019年9月22日日曜日

ハッチングの方法を学ぶ

今回は、ハッチングを使ったデッサンの練習方法を紹介します。


ハッチング(hatching)とは、元は「細かい平行線を引く」という意味の英語で、絵の上ではモデリングや影などを表すのに用いる技法です。

鉛筆やコンテによるデッサン、銅版画やテンペラ画の制作によく使われます。

右は、ディデロとダランベールが編纂した世界最初の百科事典(1751~1772刊行)からのものですが、銅版画の制作におけるハッチングの方法が示されています。


受講生のT.Hさんは、そのハッチングの効果と美しさに魅かれて、19世紀のリトグラフを模写しました。










原画は、ラファエロの油彩による「カルヴォリアの丘への道」の部分を、19世紀に絵手本用にリトグラフにしたものです。

当時の画学生は、このような版画を模写することが課題の1つだったようです。
模写の方法にはいろいろありますが、ここではサイトサイズ法と同じように、画用紙とテキストを横に並べて、平行移動するように写していきました。


線で形を捉えた後に、鉛筆によるハッチングで影をつけていきます。始めは、一方方向からのハッチングで明部と暗部に大きく分けてから、次第に形態のボリュームに沿ったクロスハッチングで仕上げていきます。



テキストにしている版画では、見事な職人技のハッチングで陰影がつけられています。



模写(410×280)画用紙に鉛筆


約10時間かけて模写しました。
鉛筆とリトグラフのインクでは、黒さに違いあるので模写は若干明るく見えますが、丁寧にハッチングを観察して再現しています。

描画材料にはさまざまな種類がありますが、基本はそれぞれの材質や目的に合った使い方をすることです。
例えば、今回使用した鉛筆は、文字や図面など線を描くのに適した画材です。ハッチングはその目的に合った技法と言えるでしょう。

また、ハッチングの方向性よる効果を学ぶことは、油彩画における筆触の効果を知る上でも役に立ちます。





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