2020年6月14日日曜日

コレクション:銅版画 アングル「レオナルド・ダ・ヴィンチの死」

コロナ禍で長らくお休みを頂いてたアトリエラポルトも、6月10日から再開となりました。感染対策を踏まえながら、より良い制作環境になるようにしていきたいと思います。


その一つとして、アトリエラポルトで参考資料としている収蔵作品をできるだけ教室内で展示し、「コレクション」と題して、このブログで随時紹介することにいたしました。








初回は、アングル作の「レオナルド・ダ・ヴィンチの死」の銅版画です。






原画は、パリのプチパレ美術館にあり、それを基にJules Richommeが銅版画にしたものです。制作年代は、おそらく1800年代の前半で、ほぼ原画と同じサイズ(500×390)です。






銅版画の技法を駆使して再現したもので、その技術は驚異的です。
近づいて見ると、ビュランによる繊細なハッチングが分かります。
このハッチングの方法は、鉛筆デッサンのモデリングや明暗のつけ方の大変良い参考になります。


また、物理的には白い紙と黒いインクだけの世界ですが、衣類の光沢や影の透明感や深い奥行きまでリアルに再現されています。油絵の絵具やメジュームにどんなに優れた物を使っても、デッサンでこのような表現ができないと、アングルのような古典絵画にはなりません。


名画の銅版画による複製は、16世紀頃から作られるようになり、18世紀から19世紀に技術的な頂点を迎えます。それが、写真製版の普及によって急速に失われていきました。新しい技術の進歩に淘汰されたとも言えますが、銅版画による複製には写真にない高度な手仕事の美しさがあります。教室での制作の参考と目標になれば幸いです。




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