今回紹介するのは、文具メーカーのコクヨから学童向けの教材として発売された「フェルメールのカメラ箱」です。
いわゆるカメラオブスクラのペーパークラフトキットで、非常にシンプルな作りですが、その原理を体感することができます。
20㎝位の大きさのケースを開けると、このような厚紙でできた材料とレンズと鏡が出てきます。
説明書に従って組み立てると下の写真のようになります。
A.Kircher, Ars Magna Lucis et umbrae. 1649より |
近距離の室内や静物ではボケが気になりますが、遠い風景だと印象派の絵のような感じに見えます。
(ただし左右が逆転して映ります。)
ただフェルメールの時代のカメラ・オブスクラは、被写体深度が浅くレンズの歪みも大きいので、画家がこれを使って絵を描いたかは疑問です。
このようなレンズを使った光学器具は、良質なガラスレンズが比較的に安く大量に生産される16世紀頃から発達します。
ディドロとダランベールが編纂(1751~1772)した百科全書にも、レンズと鏡を使った絵を描くための装置が載ってます。
ただフェルメールの時代のカメラ・オブスクラは、被写体深度が浅くレンズの歪みも大きいので、画家がこれを使って絵を描いたかは疑問です。
今回この「フェルメールのカメラ箱」を作ってみて、やはりフェルメールは従来からの線遠近法を基にして描いた上での、見え方(光や陰影など)の補助として使った程度ではなかったかと思いました。
*カメラ・オブスクラの歴史について詳しく知りたい方には、次の本がお勧めです。
「カメラ・オブスクラ年代記」ジョン・H・ハモンド著 川島昭夫訳 朝日選書
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