いよいよオブジェを描いていきます。
天秤秤は、この絵の重要テーマだと思います。出来るだけ克明に表現したいところです。
まず、下色として固有色を少し暗めにして置いていき、ハイライトに向かって描き起こしました。
影を透明感をだしながら強めていきました。
影の暗さが決まることで、明部のハイライトの明るさも決まってきます。ハイライトは、固有色よりも若干暖かい色調にすると自然な光の印象になります。
オブジェを描き進んでいったら、背景が明る過ぎたので全面的に塗り直しました。しかし、下層が乾いている場合これは大変難しい決断で、明度や色合いは合わせられますが、よほどうまく塗らないと発色が悪くなる上に、絵具が表面に浮いた感じになってしまいます。
細部を描き込んでいきます。ここまでは、大きさの割には早く出来ましたが、ここからが時間がかかりました。
髑髏のある静物 F30号 |
おおよそ100時間かかって仕上がりました。
その間に仕事の関係で中断した期間が何度かあり、絵具が乾ききった上に描き加えていく作業が多くなってしまいました。本来古典的な技法は、生乾きの状態で絵具を重ねていくことで、滑らかなモデリングと深みを出していくものです。そのために、塗り直した背景や影の部分などの絵具が浮いて見える(溶け込んでない)のが残念です。
それでも描写や色の見方にSさんの持ち味のでた良い作品になったと思います。これに大きい画面に必要な構成力が加わればもっと素晴らしい作品になることでしょう。
仕事をしながら絵を描き続けていくのは大変なことですが、いづれは集中して制作に取り組める環境が整うように祈っています。
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