2020年3月14日土曜日

本の紹介 「脳は絵をどのように理解するか」



今回紹介する本は、1997年に新曜社から出版さたロバート・L・ソルソ著「脳は絵をどのように理解するか」(鈴木光太郎・小林哲生 共訳)です。










右:「美を脳から考える」インゴ・レンチュラー著 2000年
左:「脳は美をいかに感じるか」エミール・ギゼ著 2002年





同じ時期に右のような本も出版されていて、近年の脳科学の発達とブームの影響を感じます。













中でもこの本は、西洋絵画の中で古くから行われてきた造形方法に関連する内容が多く含まれています。

目次は次のようになっています。

1章 大きな窓ー視覚の科学
    目と脳で見る
    視覚の物理
    目

2章 脳と視覚
    脳
    目から脳へ
    二つの半球
    視覚的認知モデルと脳
    知覚と知識
    目と脳の進化

3章 形の知覚
    ガッツフェルト
    縞
    マッハの帯と側抑制

4章 視覚的認知
    視覚的認知
    基本的携帯
    知覚的体制化

5章 文脈と認知
    モナ・リザを見る
    物理的文脈
    トップダウン処理
    視覚的不協和
    
6章 目の動きと美術
    中心線と目の動き
    もの動きを測る
    脳から目へ、目から脳へ
    走査経路と美術の認知
    専門家の目の動かし方
    中心を見る傾向
    美術作品と目の動き

7章 遠近法
    二次元の目で三次元世界を見る
    奥行きの知覚の原理
    錯覚と恒常性

8章 遠近法と美術の歴史
    遠近法の技法
    先史時代の美術
    エジプト美術
    古代ギリシャとローマの美術
    アジアの美術
    ルネッサンス
    印象派
    現代美術

9章 神経ネットワーク
    具象美術と抽象美術
    標準的表象
    記憶と絵の世界
    コネクショニズム
  
   


西洋では遠近法に代表されるように、絵を科学的に捉えることで発展させてきた歴史があります。

その原理と成立ちの秘密を、脳科学によって分析を試みた内容なのが、目次を見ても分かると思います。

客観的に絵を考える上での手がかりとして、お勧めしたい一冊です。









0 件のコメント:

コメントを投稿