2012年6月20日水曜日

バラを描く 1


 バラ園をされているKさんは、教室でも花をテーマに絵を描き続けています。今回は、ちょっと大き目の絵に挑戦です。その制作過程を追っていきます。





 遠近法の枠を使って、できるだけ正確にデッサンをします。


















 遠近法の枠を使う時のコツは、対象のアクセントの位置を、点でキャンバス上に取り、その間をフリーハンドで結ぶようにすることです。すべての輪郭を、枠の升目で追っていこうとすると、大変な時間がかかる上、かえって狂いやすくなります。

















 鉛筆デッサンができたら、薄く溶いたテールドカッセルで、デッサンをなぞって定着させ、明暗を付けていきます。





 影の形や面積、その位置関係は、絵を構成する上で、とても重要です。ただ対象の影を付けるのではなく、影を含めた暗い形を、抽象的にどのように配置するべきかという見方が必要です。この段階で、時間をかけてよく考えながら明暗を付けていくように勧めました。

2012年6月13日水曜日

裸婦デッサン研究会


 教室の授業とは別に、画家仲間が集まって、毎週土曜日の夕方「裸婦デッサン研究会」を催しています。
































 照明や背景などのセッティングは、19世紀のフランスの美術学校のアトリエを参考にしています。




















 そのために、照明器具やモデル台などを自作しました。















 気心の知れた仲間と、綺麗なモデルさんを囲んで描くのは、本当に楽しい時間です。終わった後の「一杯」も格別です。

2012年6月1日金曜日

本の紹介 5

「絵画の技法」 ジャン・リュデル著  黒江光彦訳  白水社(文庫クセジュ765 ) 1995年


左:フランス語版(第9版)   右:日本語版
原本は、「Jean Rudel, Techique de la penture」で、1950年の出版以来10回以上の版を重ねる、フランスで最もポピュラーな絵画技法入門書です。


余談ですが、クセジュ文庫(Collection QUE SAIS-JE?)は、フランスの岩波文庫のような存在で、他にも絵画関係では、遠近法・デッサン・美術史・美学など良い本が沢山あります。











絵の技術を広い視点から捉えて書かれたもので、直接的に絵の描き方を説明した技法書ではありません。

しかし、日本の美術教育の中では、あまり語られることのない内容が詰まった本です。例えば、右のような「画面の構成」の意義や「色彩の問題」についても、簡潔に分かりやすく説明されています。







フランス人のリュデルの技術上の考え方は、以前に紹介したラングレの「油彩画の技術」に繋がるものがあります。読み比べてみることをお奨めします。巻末の参考文献も詳しく、研究者の手助けになると思います。 ただ、これだけ内容のある本を書いた著者ジャン・リュデルについての紹介が少なく、訳者の略歴や翻訳経緯ばかりが目立つのは気になります。訳者は、あくまでも黒衣に徹するべきではないでしょうか?

2012年5月25日金曜日

古典絵画をめざして 3

S君の静物画もいよいよ完成です。





全体に一通り絵具がのったら、細部を描き込んでいきます。








どこまで細密に描写するかは、作者の表現の領域ですが、古典の名画を見ると細部は、筆触や色のニュアンスなどで巧みに「暗示」させています。離れて見ると非常に精密に描かれている絵が,近くで見ると意外にあっさり描いているので、驚くことがよくあります。



部分を描き込み過ぎて、全体のバランスが崩れないように注意が必要です。










最後にハイライトを加えて、光と質感を強調します。






途中で休んだ日もありましたが、週1回のペースで半年以上かかって完成です。(ちょっと時間がかかり過ぎですが・・・) 初めて試みた技法だったので、戸惑うこともあったと思いますが、非常に完成度の高い作品になりました。次回はもっと短期間で作品が仕上がるといいですね。楽しみにしています。


2012年5月7日月曜日

色のエスキース

色の配置や色調を、キャンバス上で試行錯誤しているうちに色が濁ってきて、どうにもならなくなった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

そのような失敗をしないためにも、油絵の制作に入る前に、色のエスキースを作ることをお奨めします。











1.三原色を使って
色のエスキースに使う基底材は、キャンバスペーパーか、ベニヤ板や厚紙にジエッソで地塗りしたものが、気軽に使えてよいでしょう。サイズも小さい方が、短時間で制作できる上に、全体の配色や色調もよくわかります。


右のエスキースは、キャンバスペーパーに油絵具で描いたもので、大きさは28cm×21cmです。










2.スペクトルの色合いに近い絵具をつかて

細部にこだわらずに、大きな色の形の組み合わせとバランスを考えます。



彩度の高い色を使うときは、反対色どうしを結びつける中間のトーンの決定が重要です。












色の扱いは、とかく作者の感覚に委ねられがちです。(きれいな色で描けないのは、色彩感覚が悪いからだと思い込んでいる人も少なくないのではないでしょうか? ) でも、色の調和や絵具の発色についての知識があれば、誰でも美しい色彩の油絵を描くことができます。それらのことを学んだ上で、何種類かのエスキースを作って、自分の色を探していくと良いと思います。

2012年4月20日金曜日

石膏像をグリザイユで描く

T君が、サイト・サイズ法で石膏像のグリザイユに挑戦しました。




キャンバスに直接木炭でデッサン。























使用絵具:
シルバーホワイト、アイボリーブラック、ローアンバー


サイト・サイズ法で、常に対象を見比べながら進めて行きます。 (サイト・サイズ法については、昨年7月のブログをご覧下さい)












シルバーホワイトとアイボリーブラックをベースに描いていきます。

この時注意したいのは、白の油絵具は混色する相手の絵具を明るくしますが、色味を冷たくします。暖かい光で自然なモデリングを感じさせるために、ここでは少量のローアンバーを明部に加えています。












細部に囚われずに、大きな形と陰影を捉えています。




その後で、細部の形を加えていきます。










完成 (P12号)



初めての丸彫り石膏像のグリザイユでしたが、実に見事な出来栄えです。筆触や絵具の厚みの表現も効果的です。



2012年4月6日金曜日

印象派の技法を取り入れて

印象派の技法を取り入れて、風景画の制作を試みているNさんの作品を紹介します。




女神湖 M12号




八ヶ岳 M12号





妙義山 F15号




印象派のイメージは、一般的に「見た印象をすばやくスケッチ風に捉えたもの」と考えられがちですが、モネの「積み藁」や「ルーアン大聖堂」の連作など、時間をかけて入念に絵具が重ねられている作品も少なくありません。アトリエでじっくりと構図や色の組み合わせを考えながら、自分のイメージする色合いに近づけていくのも楽しいものです。







 使用した絵具:
パレットには、スペクトル(虹の色)にできるだけ近い絵具を選んで並べています。

レモンイエロー、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、カドミウムレッド、ローズマダー、コバルトバイオレッド、ウルトラマリン、コバルトブルー、セルリアンブルー、ビリジャン、カドミウムグリーンなど

これらの絵具にあらかじめ白を加えて、明るい系列のトーンを作っておくと作業がしやすくなります。