今回は木炭を使った石膏デッサンを紹介します。
木炭は影の多いライティングをした石膏像を描くのに適した画材です。
ただ木炭は落ちやすく形がボケて曖昧になりやすいので注意が必要です。
制作者Kさんは初めての木炭デッサンなので、石膏像はシンプルな「うつむき坊や」を選びました。
参考にしたのがシャルル・バルグの絵手本(Charles Bargue, Coure de dessin)の中にある石膏デッサンです。
紙はMBM社の薄手の木炭用紙、木炭はルフラン社製の硬めの角木炭を主に使用しました。
線で形を取った後、影側から描き始めました。
「うつむき坊や」 木炭紙に木炭(410×320) |
木炭は広い面積も簡単に黒くしやすいので、明暗のコントラストの強いモチーフをデッサンするには適した画材です。ただ簡単に黒くできる反面、明部の明るさを保ちながらモデリングするのが難しく、白い石膏像を描いているのに出来上がったデッサンはブロンズ像のように見えるものがよくあります。
Kさんは事前にコントロールしやすい紙と木炭を数多くのサンプルから慎重に選び、擦筆を使いながら丁寧にモデリングをしていった結果、バルグの手本に近いデッサンになったと思います。
ただ光のあたっている側の輪郭線の強弱が、内側の形のボリュームと合っていない所が気になります。一致するとより自然な表現になるでしょう。