今回は遠近法の作図を手掛かりにして、実際のモチーフを見て描いたデッサンを紹介します。
まずは、モチーフ台に碁盤状のマス目を引きます。(今回は1マス3㎝)
デッサン紙には、同じ尺度のマス目を遠近法の理論に従って作図します。
A.-E.MARTY “Perspective sans mathematiques"より |
画面上の地平線の真ん中に中心消失点をとり、縦方向の線(画面に対して90°に交わる線)をそれに向かって引きます。
横方向の線(画面に対して平行な線)は、中心消失点から、画面の幅の1.5倍の位置に、画面に対して45°の線の消失点(鑑賞距離点)をとり、先ほどひいた中心消失点に向かう線との交点で求めます。
鑑賞距離点(絵を見る距離)は、現在では視野が横方向に37°、縦方向に28°と考えて、画面の幅の1.5倍、高さの2倍を取ることが一般的です。
左の写真はほぼその位置からモチーフを眺めたところです。
マス目を基準に、各モチーフの机と接する位置と高さを求めます。
見た目と勘を頼りにデッサンするよりも、遠近法に基づいてモチーフの位置関係や大きさを正確に表現できます。
このような方法は、西洋のアカデミックな絵画ではよくおこなわてきたもので、特に大画面での制作には必要不可欠な技術でした。
線で形が取れた後、チャコール鉛筆の白と黒を使って明暗を付けていきました。
ミタント紙にチャコールペンシルの白と黒 (410×320) |
デジタル技術の発達した現代においては、写真をパソコンで加工してトレースすれば遠近法の知識は不要かもしれません。
しかしアトリエラポルトでは、対象を見て描くデッサンや絵画において、遠近法の知識は不可欠であり、大きな助けになると考えています。