前回に引き続き19世紀の肖像画の修復過程です。
選択した溶剤で隅の方から慎重に黄変したニスを取っていきます。
暗い背景や影の部分はどこまでがニスの汚れで、どこまでがオリジナルの絵具の色かの判別が非常に難しいところです。ヘタをするとオリジナルの絵具を取りかねません。
古いニスを完全に取り除こうとせずに、全体のバランスを考えながら黄ばんだ感じがなくなる程度に留めました。
明るい部分も要注意です。科学的な検査機械を持っていない私たちは、グレーズ(Glaze)の色かニスの黄変かの正確な判断は不可能に近いです。とにかく取りすぎないように(綺麗にしすぎないように)進めていきました。