(このグリザイユの手法については、その時のブログをご覧ください。)
面冠女神像 「暖色と寒色によるグリザイユ」 (P15号) |
このように明暗(光と影)を寒暖で置き換える見方は、色を使った時にも応用できます。
例えば裸婦を描く場合、決めた肌色の明度だけの変化では単調で生気のない人体になってしまいます。寒暖を意図的に使い分けることで、自然で輝くような肌の表現が可能になります。ルーベンス(1577~1640)はこの寒暖の微妙な変化を色相に置き換えることで、同時代では例を見ない、明るく光り輝くような革新的な裸体表現を行いました。 それは後に、ヴァトーによってフランス・ロココ時代の色彩表現に引き継がれ、さらに後の印象派の礎を作ったとも言えるでしょう。
明暗と色彩の関係は、絵画表現の要と言える問題です。さまざまな考え方や捉え方、そして教え方があります。今回の「寒色と暖色によるグリザイユ」は、明暗をベースに置くリアルな表現から、色の効果について考えてみる、良い方法の1つだとアトリエラポルトでは考えています。