今回は、アトリエラポルトでデッサンの学び始めに描いて頂いている、白いモチーフの新作を紹介します。
デッサンの学び初めは、色のない(モチーフ固有の明度のない)白い物を描いた方が、形が捉えやすい上に光と影による形の再現方法の理解も早まります。
例えば、次の写真は明治時代に浅井忠によって描かれた習画帖の一部ですが、対象物固有の明度を除いて表現されています。このようなデッサンの方法は当時の西洋では一般的で、浅井の師であるフォンネージから受け継いだものと考えられます。
今回作ったモチーフは、果物のリアルさを求めて試しに直接実物に白い塗料を塗って作ってみました。
例えばザクロは、中身を取って代わりに石塑粘土(フォルモ)を詰め、数か月乾燥させてから壁用水性ペイントで白く塗りました。
乾燥して多少形はちじみ表面のツルツルした感じはなくなりますが、ザクロの特徴であるガクの形はそのままです。
これは、割ったザクロの種だけ取って乾燥させたものです。
ほおずきは、よくできました。
力作、葉つきみかん。本体と葉の部分は別々に乾燥させ、葉の付け根は紫外線硬化接着剤で補強しました。
他にも何種類かの果物で試みましたが、カビが生えたり形が変形したりと試行錯誤の連続でした。塗料が剥がれやすかったりとまだ問題点はありますが、模造品よりもリアルに感じてデッサンができると思います。少しづつ種類を増やしていければと考えてます。