アトリエラポルトでは、グリザイユをデッサンの延長線上としてカリキュラムに取り入れています。今回はその目的で描かれたグリザイユの制作過程を紹介します。
作者のTさんは、このようなグリザイユを描くのは初めての方です。
まずはキャンバスの大きさ(F4号)に区切った画用紙に鉛筆でデッサンして頂きました。
これに対してグリザイユでは、モチーフ固有の明度と背景を含めたすべての明暗関係の再現が目的です。
デッサンをキャンバスに転写した後、ベースとなる明度のグレーで全体を塗ります。
それより明るい部分は拭き取って白くし、暗い部分は黒を足して明度を落とし、大きく3段階で明暗関係を捉えます。
大きな明暗の配置が決まったら、いよいよ描き込んでいきます。
その際、暖かいグレー(アイボリーブラックとシルバーホワイト)と冷たいグレー(ブルーブラックとシルバーホワイト)を光と影や前後関係に従って使い分けることで、より輝きのある自然な空間の表現を目指します。
常に対象と見比べて描き進め、時には離れて見ることが大切です。
完成。
グリザイユ(F4号) キャンバスに油彩 |
明度(Valeur)が適切に再現されたグリザイユになったと思います。形も細部までよく描き込まれてクリアに表現されています。このように油絵具はデリケートな明暗や滑らかなモデリングを再現するのに適した画材です。アトリエラポルトでは、「デッサンは形」「明暗の再現はグリザイユ」と分ける事で、デッサンから油絵へ繋がりをもって学んで頂けるように考えています。