2019年7月12日金曜日

日曜人物デッサン講習会

 受講生を対象に、毎週日曜日の午前中に裸婦を中心とする人物デッサン講習会を始めました。

人物デッサン、とりわけ裸婦デッサンというと、日本ではクロッキーを指すことが多いと思いますが、西洋の過去の文献やそれに準じたクラシカルドローイングをおこなっている現在の欧米の美術学校を見てみると、固定ポーズでかなりの時間をかけて制作しているのが分かります。
アトリエラポルトでもこれに倣って、固定ポーズで最低でも6時間(20分ポーズ×18回)かけて1枚のデッサンを描くようにしています。



また照明も一方向から当て、はっきりとした光と影で、形や空間を捉えやすくしています。

人物画はモデルが動くので難しく、写真を使って描く方が多いと思いますが、本来の人物デッサンは、動くモデルさんから最も美しい形やコンストラクションを捜し出して、再構築しながら描いていくものです。そこに単なる引き写しではないデッサンの本質的な課題があります。
昔の西洋の美術学校で、解剖学や遠近法や明暗法などの知識を徹底的に教えた理由が分かります



限られた条件のもとですが、アトリエラポルトは少しでもそこに近づけるように受講生と共に研鑽していきたいと考えています。


2019年7月1日月曜日

狭いスペースでもできるサイトサイズ法

今回は狭いスペースでもできるサイトサイズによるデッサンの方法を紹介します。


 

右のイラストは、2017年に翻訳出版されたシャルル・バルグの「ドローイングコース」の中に載っているサイトサイズ法についてのイラストです。本来はこのようにセッティングして、立ってモチーフの高さの2~3倍の距離から見比べて描くのが理想です。しかしこれではスペースを取り過ぎて、狭い教室ではできません。


そこでアトリエラポルトでは、机の上に置けるサイズの衝立とキャスター付きの椅子を使って、小スペースでもサイトサイズでデッサンができる方法を考えました。





衝立は、幅90㎝、高さ60㎝、厚さ1.2㎝のベニヤ板に、ツーバイフォーの木材を使って足をつけ、垂直に立てかけられるように作りました。

















このサイズだと、半分に半面の石膏像、半分に四つ切りの画用紙を張り付けることができます。


キャスター付きの椅子に座って、石膏像から衝立の幅の1.5倍から2倍くらいの距離にマークをつけます。

そこから石膏像とデッサンを見比べて、できるだけ正確に原寸大で描いていきます。







サイトサイズ法は、鑑賞位置と画面までの距離が離れているため、何度もその間を移動することになります。立って描くとかなり体力が必要ですが、キャスター付きの椅子を使うとその点も楽になります。



この方法では、丸彫りの石膏像や大きな石膏像は描けませんが、セッティングがしやすく小スペースでもサイトサイズ法でデッサンを学べます。

サイトサイズ法は、初心者の方でもデッサンの間違いに気づきやすく、短期間で上達できる優れた方法です。

ただし注意しないと対象を引き写しただけのデッサンになってしまいます。アトリエラポルトでは、測り棒などを使った「計測によるデッサン」や、「遠近法の理論に従ったデッサン」などを組み合わせて学ぶことが必要だと考えています。