今回は、「うつむき坊や」の石膏胸像です。
原型は、ルネサンス時代のイタリアの彫刻家デシデーリオ・ダ・セッティニャーノ(Desiderio da Settignano,1430~1464)の作品の一部です。
KTさんは、丸彫りの像を描くのは初めてだそうです。
まずは、遠近法の枠を透して輪郭を取っていきました。
石膏像の「うつむき坊や」は、石膏の型が甘くなっているのが原因だと思いますが、像全体が曲線で出来ているように見えます。しかし、デッサンではあえて直線で捉えることで、形が曖昧になることを防ぎます。
線で形が捉えらたら、光と影の境目を決めて、暗部を塗っていきました。
次に明部をチャコール鉛筆の白で描き起こしていきました。
擦筆でぼかしながら、モデリングをしました。
特にうつむいた顔の明度とモデリングが難しいところです。チャコール鉛筆の白と黒を交互に使いながら対象に近づけていきました。
塗り過ぎて形がボケてきたら、鉛筆状のハード消しゴムや練消しゴムを使って、余分なチャコールを取っていきます。
うつむき坊や 54.7×37.4 |
滑らかなモデリングとデリケートな光と影の変化が美しい石膏デッサンになりました。
このように中間色の紙に白と黒で描くデッサンは、現実の状況に近づけ易い反面、現象的な光と影を追ってしまって、デッサンの本質である「形を表すこと」を疎かにしがちです。その点、KTさんのデッサンは、個々の形のボリュームもうまく表現されています。これに輪郭線の強弱が、内側の形の変化に従ってつけられるようになれば、もっと良くなると思います。