2023年3月16日木曜日

暖色と寒色について

 今回は現在ギャラリーエスパスラポルトで開催されているグリザイユ展から、暖色と寒色について考えてみましょう。

「エッ、グリザイユに色があるの?」と思われるかもしれませんが、ここでの暖色・寒色とは、同一色相上の暖かい・冷たいといったニュアンスのことを指します。例えば、赤でも紫に寄った赤は冷たく、オレンジに寄った赤は暖かく感じます。同様にグレーも、アイボリーブラックを使ったグレーは暖かく、ピーチブラックやランプブラックで作ったグレーは冷たく感じます。この違いを利用して、光のあたっている所は暖かいグレー、影は冷たいグレーというように使い分けることで、より豊かなボリュームと奥行き、そして光の輝きを表わすことができます。

次の2点の作品は、1点がシルバーホワイトとアイボリーブラックだけで、もう1点がアイボリーブラックにブルーブラックを加えて描いたものです。



使用絵具:アイボリーブラック、シルバーホワイト

使用絵具:アイボリーブラック、ブルーブラック、シルバーホワイト

画像では分かりにくいですが、寒暖を使い分けた方がより輝きのあるグリザイユになっていると思います。


次のグラデーションは、シルバーホワイトにレッドオーカーとコバルトブルーの混色によってできるグレーの変化を表しています。


このグレーを使って描いた作品が、下の面冠女神胸像です。より寒暖のニュアンスの豊かなグリザイユになっています。

面冠女神胸像(P15号)
使用絵具:レッドオーカー、コバルトブルー、シルバーホワイト




展示の中には、寒暖のニュアンスを使ったグリザイユを応用したエチュードもあります。



このような明暗と色についての考え方は、古典絵画から印象派に至る色使いのベースとなったものです。ギャラリー・エスパス・ラポルトで実際にご覧頂けたら幸いです。

グリザイユ展
3月24日まで(延長)8:00~19:00
休廊日:土曜・日曜・祝日
ギャラリー・エスパス・ラポルト
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9(さとうビル1階)





2023年3月3日金曜日

動画:「立ちポーズを描く」2

 動画 「立ちポーズを描く」の2回目をYouTubeにアップしました。

今回は油彩編ですが、着彩に入ってから再びデッサンに戻ったりしています。
現実のモデルさんを見ながら制作すると常に新たな発見や気づきがあるものです。そうした制作過程の様子をそのまま動画にしてみました。ご覧頂ければ幸いです。




2023年3月1日水曜日

グリザイユ展

 今回は27日からギャラリー・エスパス・ラポルトで始まった「グリザイユ展」をご案内します。
一般的にグリザイユ(Grisaille)は古典的油絵制作の工程の1つと考えられていますが、アトリエラポルトではデッサンの延長線上として授業に取り入れています。
現実の空間の再現には明暗(Value)を的確に捉えることが必要です。油絵具はそれに最適な画材であると共に、初心者の方が油絵に慣れて頂くためにもグリザイユは良い練習方法です。
「グリザイユ展」では、アトリエラポルトの受講生がいろいろな方法で描いたグリザイユ作品を展示しています。絵の表現における明暗(Value)の重要性と「美しさ」を考えるヒントになれば幸いです。




グリザイユ展 (モノクロームのエチュード)
会期:2023年2月27日〜3月17日 (8:00〜19:00)   
休廊日:土曜・日曜
場所:ギャラリー・エスパス・ラポルト
   東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビル1階
   TEL:03-6661-0370