今回は現在ギャラリーエスパスラポルトで開催されているグリザイユ展から、暖色と寒色について考えてみましょう。
「エッ、グリザイユに色があるの?」と思われるかもしれませんが、ここでの暖色・寒色とは、同一色相上の暖かい・冷たいといったニュアンスのことを指します。例えば、赤でも紫に寄った赤は冷たく、オレンジに寄った赤は暖かく感じます。同様にグレーも、アイボリーブラックを使ったグレーは暖かく、ピーチブラックやランプブラックで作ったグレーは冷たく感じます。この違いを利用して、光のあたっている所は暖かいグレー、影は冷たいグレーというように使い分けることで、より豊かなボリュームと奥行き、そして光の輝きを表わすことができます。
次の2点の作品は、1点がシルバーホワイトとアイボリーブラックだけで、もう1点がアイボリーブラックにブルーブラックを加えて描いたものです。
使用絵具:アイボリーブラック、シルバーホワイト |
使用絵具:アイボリーブラック、ブルーブラック、シルバーホワイト |
画像では分かりにくいですが、寒暖を使い分けた方がより輝きのあるグリザイユになっていると思います。
次のグラデーションは、シルバーホワイトにレッドオーカーとコバルトブルーの混色によってできるグレーの変化を表しています。
展示の中には、寒暖のニュアンスを使ったグリザイユを応用したエチュードもあります。
このような明暗と色についての考え方は、古典絵画から印象派に至る色使いのベースとなったものです。ギャラリー・エスパス・ラポルトで実際にご覧頂けたら幸いです。
グリザイユ展
3月24日まで(延長)8:00~19:00
休廊日:土曜・日曜・祝日
ギャラリー・エスパス・ラポルト
東京都中央区日本橋小伝馬町17-9(さとうビル1階)