すでに若い世代の画家として活躍しているH.mさんが、19世紀の技法に魅せられて模写をされました。その制作過程を紹介します。
原画はアトリエラポルト講師所有の作者不明の19世紀新古典主義に繋がる作風の絵です。技法と服装から1830年頃に描かれものではないかと推測しています。
(この絵の修復過程は、このブログページの右側にあるラベルの「修復」をご覧下さい)
透明シートを使って直接原画をトレースしてキャンバスに転写しました。
キャンバスは原画と同じ位の目の粗さのものを探してきて、シルバーホワイト、アイボリーブラック、少量のローアンバーで全面に薄くグレーの地色を付けています。
転写したデッサンを、原画を見ながらより精度の高いものにしていきます。
カッセルアースにレッドオーカー、ブラウンオーカーで色味の調整をしながら、描き始めはカマイユのように描いていきました。
練り合わせや溶き油については、H.mさんが調合されてきたものを使いました。樹脂とスタンドオイルを基にした濃厚な溶剤です。
次第に固有色を加えていった段階です。
肌などの明部は、主にシルバーホワイトで明るめに描き起こしていきます。
肌の明るい部分の微妙な明暗や色合いの変化は、できるだけオプティカルグレーで作るようにアドバイスしました。
続く