前回に引き続きゴールデンウィーク中に開催された特別講座「銅板油彩画」の様子をお伝えします。
銅板を基底材に油絵を描くことは日本ではほとんどおこなわれてきませんでしたが、西洋では古くから「持ち運び用」の小型の絵に銅板がよく使われてきました。日本の歴史の中では、東京国立博物館蔵の南蛮渡来の「聖母像」(重要文化財)が銅板に描かれた油絵の例です。
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南蛮美術「聖母像」17世紀後期 (26.7 ×21.5) |
講師をお願いした画家で技法研究家の鳥越一穂氏は、10年ほど前から銅版画の技法を調査・研究し自身の作品制作に取り入れています。今回の講座は3日間と限られた中で、銅板のプレパレーションの方法から実物のモチーフを見ての制作までおこないました。
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銅板のプレパレーションの様子 |
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モチーフ |
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チョークでデッサン |
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ヴァンダイクブラウンで明暗をつける |
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固有色を置いていく |
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鳥越先生のデモンストレーション |
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受講生の作品 左がシルバーホワイトとローアンバーで作ったグレーで地塗りをした銅板に描いたもの 右が銅板に樹脂を塗って直接描いたもの |
時間が限られているため描き込んで完成させることはできませんでしたが、銅板の下準備から油彩までの工程を一通り体験する事ができたと思います。油絵技法の新たな可能性を感じて頂けたら幸いです。