Fさんは、目標の米寿の個展まであと2年、すでに会場の予約もされて、制作に励まれています。今回仕上がった作品は、80歳の時に、お1人でヨーロッパ旅行して撮ってこられた、思い出の風景写真を参考にして描かれたものです。
ご自宅で半分ほど描かれた状態のものを、教室で仕上げられました。
F15号 ザルツァッハ川の畔 |
空気遠近法について説明したところ、参考写真より鮮やかな色彩の変化で、奥行が表現できました。
現役時代に、図面を描くお仕事をされていただけに、建築物の細部へのこだわりは、並大抵のものではありません。 ただ、風景全体の自然な距離感から、ある程度の省略があっても良かったと思います。
紅葉した木、緑の木、芝生、白壁の家などの明暗の組み合わせに、造形的配慮が感じられます。
お歳のことを言ったら怒られてしまいそうですが、ご高齢でこれほど密度の高い作品を仕上げられたのには驚嘆しています。そして,Fさんの絵や人に対する誠実な姿勢にも頭が下がります。私たちは、描き方のアドバイスをする側ですが、Fさんからは、「生き方」を教わっています。