持って来られたデッサンを拝見して、非常に描写力のあるのに驚きましたが、現象的な明暗を追いすぎて、形が曖昧になってしまっている事と、白い紙に対するモチーフの明度関係が考慮されていない為、ブロンズを描いたように黒いデッサンになってしまっているのが残念に思いました。

そこで、キューピットの石膏像に、スポットライトをあて、光と影がはっきりしたセッティングをして描いてもらいました。

光と影の境目をどこで区切るかは、難しいところですが、形を表すのに最適な位置を選択して、境界線を引きます。こうすることで、光の無限の変化を追って形がぼやけるのを防ぎます。また、影を置くことで、明部が白く明るく感じられるようになります。
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Charles Bargue“Cours de dessin”より |
このやり方は、19世紀後半に、フランスの美術学校で広く使われていたシャルル・バルグ(Charles Bargue)の手本帖にも見ることができます。
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キューピット 画用紙に鉛筆 45.5×33.4 |

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