2011年5月24日火曜日

作品の紹介 2

ドライブのお好きなNさんは、行く先々で撮られた写真と記憶をもとに、教室で風景画を描かれています。今回は、新たな試みとして印象派の技法に挑戦されました。

 新印象派の画家シニャックの著書「D'Eugene Delacroix au neo-impressionnisme」に、印象派の方法ついての説明が載っています。Nさんにはそれを参考に、アドバイスをいたしました。


 結果として、写真の色とはかなり異なりますが、明るく軽やかな色合いの絵になりました。

 写真を参考に絵を描かれる方は多いのですが、どうしても写真の引き写しのような絵になりがちです。巨匠の技法や流派の方法論を参考にして、絵を再構成して描いてみるのも良い勉強になると思います。

2011年5月13日金曜日

作品の紹介 1

アトリエ・ラポルトの最初の受講生Yさんの作品


 モチーフ選びと配置を熟考された結果、古典的なピラミッド構図を採用されました。

 遠近法を考えながらデッサンをした後、明暗法に従って、シルバーホワイトとテールドカッセルで入念にグリザイユしました。






 グリザイユの上に、モチーフを見ながら慎重に色を重ねていきました。













 この方法は、昔から西洋で行われていましたが(16世紀のヴェネチア派など)、一歩間違えるとグリザイユの層に、上層の色がくわれてしまい発色の鈍い暗い絵になってしまします。







 Yさんは、慎重に、そして驚くべき集中力をもって制作を進められ、素晴らしい発色で密度の高い仕上がりになりました。今年傘寿を迎えるYさんの記念となる作品になったと思います。


2011年5月7日土曜日

浜町に記念碑を


  日本最初の油絵画家、高橋由一について思い巡らしながら、休日の浜町や小伝馬町界隈を歩くのもいいものです。
できることなら、由一を研究されている諸先生方に、天絵学舎の場所を特定していただいて、町内会で記念碑でも作ったら如何でしょうか。




天絵学舎があった浜町1丁目付近



油絵具開祖村田宗清の店舗があった大伝馬町3丁目の通り












          
                                                                                                                           
                               


小伝馬町の老舗すき焼店「伊勢重」 創業明治2年
由一もここの牛鍋を食したのではないでしょうか?





ランチにお奨め
牛鍋弁当(900円)















 



小伝馬町の御菓子匠「梅花亭」
創業嘉永3年(1850年)






 ペリーが浦賀に来航した当時売り出した
焼き菓子「亜米利加饅頭」(右下)は、
現在の栗饅頭の原型。
また、「銅鑼焼」(左上)を
創出したことでも知られています。

2011年5月6日金曜日

日本で最初の私設ギャラリー

  前回に高橋由一が浜町に創設した天絵楼について書きましたが、そこでは明治9年10月から月例展として毎月第1日曜日に、教員と塾生の作品を一般の人たちに展覧していたそうです。(明治14年2月まで続いた) これは日本で最初の油絵の私設ギャラリーと言えるのではないでしょうか?

展開閣(高橋由一画)
展開閣とは、由一が構想し実現を夢見ていた絵画専門の美術館です。
由一は、油絵の展示を、「人智の進歩の欠くべからざる要件」と主張していました。