2013年1月30日水曜日

色を使って 2


昨年12月7日のブログの続きで、Tさんの色を使った油絵作品を紹介します。
















F4号



サイトサイズ法で描く場合、対象の明度と色彩の鮮やかさに、どれだけ絵具で近づけるかが、課題となります。
















右側が現実のモチーフ、左側が習作(紙の上に油彩)、中央が制作途中の作品です。















F4号


細密に描いているわけではありませんが、鑑賞距離から見ると、とてもリアルな上に、油絵具という物質が、対象の質感に見事に置き換わっています。























F4号

左は、色を使った制作の4枚目の作品です。、形や色の組み合わせにも、配慮が感じられるようになりました。

















2013年1月23日水曜日

小伝馬町・馬喰町界隈

今回は、アトリエ ラポルトの教室がある小伝馬町と馬喰町界隈を紹介します。


左上:BICYCLE 右上:OZ 下:Hanako


このあたりは、近年「東京イーストエリア」として、注目を集めている地域です。



古くから衣料の問屋街だったこの町で、老朽化したビルがリノベーションされ、おしゃれなカフェやレストラン、そしてアート系ギャラリーや雑貨店に、生まれ変わっています。










右側の白いビルの6階に、アトリエ ラポルトがあります。













通り沿いにあるお店です。










このブログを始めた時にも、教室の周辺は、日本で最初の油絵画家だった高橋由一や川上冬崖らの画塾あり、国産初の油絵具を製造販売しだ村田画材店もあった所と紹介しました。(2011年4月のブログ参) 100年以上の歳月を経て、また新たなアートの発信地になることを願っています。




2013年1月16日水曜日

青色のシンホニー

前回では、グリザイユ画法によって、現実のリアルな再現には、対象を明暗(Valeur)で把握することが大切なことに触れました。その練習のためにも、グリザイユはとても有効な手段ですが、今回は、それを応用した作品作りの例を紹介します。



Yさんの今回のテーマは、イタリアのアルベロベッロの風景です。ご自身で撮ってこられた白黒写真からの制作です。














そこでお勧めしたのは、南イタリアの青い空をイメージして、最初に青だけで描いてみる(語弊にはなると思いますが)青色のグリザイユです。

使った絵具は、セルリアンブルー、コバルトブルー、ウルトラマリン、ランプブラック、シルバーホワイト、です。

















セルリアンブルーを暖かめの青、コバルトブルーとウルトラマリンを冷ための青として扱い、ランプブラックを鮮やかさの調整に加えました。

同系色だけでも、寒暖のニュアンス入ると、とても色彩が豊かに感じられ、光の輝きも表現できます。















M8号 アルベロベッロの小道

最後に、レッドオーカー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジなどの反対色に、ヴィリジャンやイエローオーカーなども加えて、対象の固有色を表すと共に、寒暖のニュアンスの強調を図りました。

現実の色の再現をした絵ではありませんが、絵の中で色は美しく調和し、作者の象徴的なイメージの世界が伝わってきます。色による表現を考える上での、参考になればと思います。


2013年1月9日水曜日

初めてのグリザイユ

昨年の4月から、私たちのアトリエに通われているMさんの作品を紹介します。

Mさんのお好みは、リアリズム絵画とのことで、ご自身も日本の若い世代のリアリズム絵画のコレクターでもあります。




まずはデッサンから始めてもらいました。


F10号のスケッチブックに、遠近法の枠を使って、できるだけ正確に、線で形を捉える練習をしました。














[デッサンからグリザイユへ]

楽しんで絵を描いていく上で、あまりデッサンばかりを繰り返しては、つまらなくなってくるものです。

そこで、形がある程度取れるようになった段階で、キャンバスに転写をして、油絵具の白と黒を使って、明暗を付ける(グリザイユ)ことにしました。










Mさんは、すでにカルチャースクールで、油絵の経験は豊富なので、デッサンと油絵の橋渡しとして、グリザイユは興味深い方法だったと思います。

















リアルな現実の再現には、対象の明度を、的確に見分けられる必要があります。Mさんは、これまでそのような見方をしていなかったようで、ここまでくるのに、大変苦労されました。













F8号の絵ですが、週1回の受講で、デッサンから始めて、約3ヶ月かけて完成しました。時間はかかりましたが、とても充実した作品になりました。リアリズム絵画に、形と明暗(Valeur)が大切な事を、理解して頂けたと思います。