2013年10月27日日曜日

第2回 地下鉄ギャラリー展



地下鉄・都営新宿線の馬喰横山駅改札を出た所にある地下通路ギャラリーで、アトリエ・ラポルトの作品を展示しています。


期間は、2013年10月26日(土)から11月15日(金)までです。

*地下鉄ギャラリー展は好評につき、11月22日(金)まで、延長になりました。


このブログで、紹介した作品も展示しています。

近くにお越しの際は、お立ち寄り下さい。

























都営新宿線馬喰横山駅の地下通路は、JR総武線快速の馬喰町駅と、都営浅草線東日本橋駅ともつながっています。通路内には、ドトールコーヒー店やキヨスクもあります。乗換えや待ち合わせの時間に、アトリエ・ラポルトの作品をご覧になって戴ければと思います。 





ギャラリーコーナーは、この辺です。

2013年10月23日水曜日

公募展を目差して、大作を描く (2)



明暗が定まったので、着彩に移りました。パレットには、古い時代からの基本色、イエローオーカー,レッドオーカー,バーミリオン,カッセルアース,バーントアンバー,ランプブラック,に、カドミウム系やヴィリジャン・ウルトラマリン・ガランス等の好みの絵具を加えて並べます。
















グリザイユで下書きをした場合、上層にくる色彩層が鈍くなる傾向があります。これを防ぐために、ハイライトから周囲に、波紋が広がるようにモデリングしていきました。使った絵具は、シルバーホワイトに少量のバーミリオンとイエローオーカーです。何度か繰り返すことにより、ハイライトを中心に、明るい所の絵具が厚くなり、輝くような明部になってきました。(詳しくは、2013年2月15日のブログ「模写をする・8」を参照)














刺繍の布は、画面全体の支配色であるブルーグレーに対して、補色となる彩度の高い黄色を選びました。





















大きい絵は、注意しないと画面に近づいて絵具を塗る作業に追われて、全体のバランスが崩れたり、デッサンが曖昧になってきたりします。できるだけ作品を離れた位置から見るように心がけて、制作を進めていくことが大切です。


















白い服を、綺麗に描くコツは、皺の明から暗への移行部に、軽くウルトラマリンをグラッシして、この色味を基準に、明るいところは、白にネープルスイエローやローシェンナなどを微量加えて、暖かみのある白で描くことです。そして、影の中の反射も、ちょっと暖かくすると効果的です。



「刺繍」 F100号
長い期間に渡り、根気強く制作された成果が作品に現れています。特に、色の組み合わせに、Kさんらしい色彩感覚が出ています。絵具の発色も鮮やかです。これに明暗の扱いが、距離やボリュームに従って、よりデリケートに変化すると、もっと良くなると思います。次は、どのような大作を描かれるのか、今から楽しみにしています。


2013年10月16日水曜日

公募展を目指して、大作を描く (1)

油絵を本格的に習い始めて7年(アトリエラポルトに入られて約2年半)になるKさんは、公募展を目差して、年に1枚のペースで大作(100号)を描いています。今回紹介する作品も、昨年10月頃から制作を始め、今年8月に完成、9月に東京都美術館で行われた公募展に入選しました。その制作過程を、振り返ってみます。


大作の制作では、最初にテーマと構図をしっかりと決めておかなければなりません。途中からの変更は、大変な労力がかかる上に、発色の悪い、鈍い感じの絵になる原因となります。

そこで今回Kさんは、アトリエ ラポルトの教室を借り切って、イメージに合わせたセットを組みました。机や椅子のデザインや配置だけではなく、光の方向や影のでき方も重要な構成要素です。家具や照明を何度も動かしながら、構想が固まった段階で、モデルさんに来てもらいました。

モデルさんには、いろいろなポーズをとってもらい、できるだけ多くのエスキースと写真を撮りました。








それらの資料を基に、構図を決め、制作に入りました。
テーマは、刺繍をする女性です。




















シルバーホワイトとバーントアンバーで色付けしたキャンバスを、十分に乾かしてから、木炭と鉛筆で入念にデッサンをします。


















カッセルアースで、デッサンを定着させながら、暗部を置いた後、シルバーホワイトで明部を描き起こしていきました。

















常に、画面全体における明部と暗部のバランスを考えながら、個々の形をモデリングしていきます。











次に、シルバーホワイトとカッセルアースを混色して、中間の明度を決めていきました。






週1回、午前・午後の通しで制作されて、ここまで来るのに約5ヶ月掛かりました。











2013年10月9日水曜日

ペインティングナイフで描いてみる

風景画を中心に制作されているNさんが、今回初めてペインティングナイフを使って描いてみました。

クールベ
西洋で、ペインティングナイフを使って描いた代表的画家がクールベ(1819~1877)です。歴史的にみても、ペインティングナイフの使用はその頃始まったと考えられます。パレット上で混色して作った対象の色を、ペインティングナイフで直接キャンバスに塗りつけると、絵具の物質感に作家の感情が乗り移ったかのような強い表現が生まれます。クールベの気質に合った技法であっただけではなく、ロマン主義を通過した時代に必然的に生まれた技法とも言えるでしょう。


日本では、古くは川村清雄(1852~1934)、佐伯祐三(1898~1928)、最近では三栖右嗣(1927~2010)の作品に、巧みなペインティングナイフの使用が認められます。
川村清雄
三栖右嗣










      

                    

さて、Nさんの制作に入りますが、デッサンを取った後、まずはいつも通りに筆を使って大きな明暗を付けていきました。


絵具は、絵全体が青系統になるのを考えて、反対色の赤茶(レッドオーカー)を選びました。この色が、ペインティングナイフで絵具を置いた時に隙間から見え隠れして、微妙な暖色のニュアンスを与えます。






ペインティングナイフでの制作は、大量に絵具を消費します。思い切ってパレット上に絵具を出して、狙った色が出るまで混色を繰り返します。











空から、色を置いていきます。















ダイレクトペインティングと同じで、色を置いた所から仕上ていくつもりで描いていきます。














水面の光の反射の表現は、この作品の見せ所です。キラッと輝くような効果がでるように、色のコントラストやタッチの方向性を工夫しながら絵具を重ねていきます。












ペインティングナイフだけの制作は、硬い工芸的な絵になってしまうので、筆を使ってマチエールの変化をつけます。












「静浦」  F30号

ペインティングナイフで描くのは初めてだったので戸惑いながらの制作となりましたが、ペインティングナイフの特徴がよく出た絵になりました。 特に、水面の光のキラキラした反射がうまく表現されています。




ただ作品全体では、ペインティングナイフによる重厚な油絵具の物質感は出ていますが、それが対象の質感や距離感に、転化しきれてないところがあります。次回は、スケッチやエスキースなどで、色合いや混色の練習をしてから制作に入ると良いと思います。





2013年10月3日木曜日

アトリエの道具と画材 4 「手作りキャビネット」

今回紹介するのは、アトリエラポルトで使っているキャビネットです。





キャビネットは、制作中に絵具や溶剤や筆などを、まとめて置けるアトリエの必需品です。


これを、アトリエラポルトの講師が、収納ボックスに合わせて手作りしました。















建築用木材を、カットして組み立てました。

縦54cm×横42cm×高さ45cmで、足にはキャスターが付いていて、簡単に移動ができます。





受講生に貸し出している収納ボックス




上部に、教室で貸し出している収納ボックスが、ぴったりと納まり、下部にも道具が置けるようになっています。これに専用の筆立てが付きます。











その日の制作が終わったら、キャビネットから収納ボックスを取り出して、専用棚へ。道具の持ち帰りをせずにすみます。


油絵の道具は意外にかさ張る上に、絵具や筆などが散らかると、思わぬトラブルを起こしかねません。整理されたアトリエで、落ち着いて制作できるようにしたいと思ってます。