2024年10月31日木曜日

ついに入手! 19世紀のエコール・デ・ボザール様式の石膏デッサン

 今回はアトリエラポルトの参考作品として、ようやく実物を手にすることができたデッサンを紹介します。

それは、19世紀のパリの美術学校(École des Beaux-Arte de Paris)で制作されたと考えられる典型的な新古典主義様式の石膏デッサンです。


裏には、作者のPelezのサインと’’Pelez eleve de M Cabanel et Barrias’’ 「カバネル氏とバリアス氏の生徒 ペレーズ」と読み取れる記述があります。



調べてみると、Fernand PELEZ(1843-1913) という画家が存在して、パリの美術学校でカバネル(Alexandre Cabanel)の指導を受けています。パリの美術学校にも同じスタイルのデッサンが収蔵されていて高い評価がついています。残念ながらこのデッサンは時間がなかったのか、頭部と足が描きたりませんが、当時のデッサンの描き方がとても良くわかる貴重な資料です。





これから受講生の皆さんと時間をかけて模写をしたり資料を調べたりして、フランスのアカデミックなデッサンの真髄に迫りたいと思います。



余談ですが、作者のフェルナン・ペレーズは、1866年からサロンに歴史画を出品し、1880年頃からルパージュに影響されて貧しい人々を描くようになり、その後象徴主義的な作風に転じた興味深い画家でした。2009年にパリ市立プティ・パレ美術館で回顧展がおこなわれ再評価されたとのことです。








2024年10月13日日曜日

知っていると便利 ワイプアウト技法(Wipeout Painting Technique)

今回はワイプアウト技法による油絵の下書き方法を紹介します。
ワイプアウトは、画面全体に素早く明暗を付けるのに便利な方法です。
実践して頂いたのはアトリエラポルト4年目のSさんです。

ワイプアウトをおこなうには、事前に構図も含めたデッサンができていることが必要です。
それを、油絵具の溶剤で取れないように、顔料インクのボールペンかフェルトペンでキャンバスに定着します。


使用する絵具は、堅牢で乾きの早いものを選びます。今回はバーントアンバーを選びました。
少量をキャンバスに直接出します。



薄めの溶き油を多めに垂らして、脱脂綿で伸ばします。


円を描くようにして均一に塗ります。


濃さは好みでかまいませんが、ベッタリ塗り過ぎると乾きが遅くなる上に上層の色に影響を与えるので、薄く明るめに塗るのがコツです。


ボロ布を使って明るい部分を拭いていきます。


細かい箇所は、綿棒を使うとよいでしょう。


明るい所が拭き取れたら、影などの暗い部分を同じ絵具で加筆して終わりにします。



ワイプアウト技法による下書きができました。
ワイプアウトは筆よりも早く塗れ、対象の明暗関係を大づかみ捉える下書きに適しています。
この後、数日乾かしてから固有色を置いていくとよいでしょう。