2025年1月27日月曜日

19世紀の描画材料

 今回はアトリエラポルトの受講生のKさんから譲って頂いた、19世紀末頃の描画材料を紹介します。


Kさんがこのような画材を集めたのは、19世紀のパリの美術学校で描かれたデッサンに使われていた画材と表現に興味をもたれたからだそうです。



調べていくと、今では使われなくなった描画材料がいろいろあることがわかりました。
入手できた物の中からいくつかを紹介します。


PIEERE NOIRE (ピエールノワール) : 元は天然の鉱物でしたが、それを合成して棒状にした物です。現在パリの美術学校が公開している資料によると、このようなデッサンは、PIERRE NOIREで描いたとされています。



これは、その先を尖らせるために使用したと考えられる砥石。



SAUCE (ソース) : 失われた描画材料で非常に貴重なものです。右側2本のガラス容器が粉末状で、左側が棒状(Le Velours á Sauce)です。これを擦筆につけたり、水に溶いたりして使っていたようです。とても淡く、ベルベットのようなハーフトーンの表現が可能です。



それに使用したと考えられる擦筆。上が現在もある紙製、下がセーム革巻いて作った珍しいものです。


 他にも、昔の鉛筆や木炭など興味深いものが沢山あり、これから時間をかけて調べたり試したりするのを楽しみにしています。画材の面からも19世紀のデッサンに迫っていければと考えています。





2025年1月10日金曜日

自然光で見るブグロー

 現在上野の国立西洋美術館ではモネ展が開催されていて(2/11まで)連日チケット売り場には行列ができていますが、並ばずに入れる常設展を目的に来る方は少ないかもしれません。

でも今回紹介したいのは、その常設展でモネと同時代に活躍したブグローの作品展示です。


前回この作品を見た時は、暗い部屋でスポット照明でしたが、今回は2階の自然光の入る明るい場所で、ブグローがアトリエで描いた時に近い状態で見ることができます。


ブグローは印象派の色使いに影響を受けていますが、その絶妙な取り入れ方がとても良くわかります。


ブグローの秀作が、このように常設展示(入場料500円)でいつでも気軽に見れるのはとても嬉しいことです。他にもブグローの少女像の代表作やボナ、エンネルなど19世紀のアカデミックな画家に興味のある方にはお薦めの展示です。モネ展の行列にうんざりしたら、是非こちらをご覧ください。(隣の部屋にはモネの作品もあります。)