昨年、惜しくも亡くなられた中村先生が、ご自身の絵に対する考え方を、豊富な作例と共に述べられている本です。
タイトルは、「趣味の油絵」となっていますが、専門的に絵を描かれている方にも、とても参考になる内容です。
右のような制作過程をみると、色彩の美しさに目を奪われがちな中村先生の絵の基礎に、直線的な構造を重視した的確なデッサンと、明暗の抽象的とも言える配置への熟考があることが分かります。
この本の基になったのが、平成4年にNHKで放送された「趣味百科,絵画への誘い」です。当時の放送の録画が見られれば、一層理解が深まると思います。
これは、昨年の月刊美術の12月号に掲載された、中村先生の最後のインタビュー記事です。
短い文章ですが、ご自身の絵に対する想いを語られています。今、若い世代の画家を中心に、写真とパソコンを利用した写実絵画がブームのようになっていますが、改めて「写実絵画とは何か?」を、あの温厚なお人柄の中に、強い意志を秘めて、われわれに問いかけていると思います。
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