2021年4月3日土曜日

静物をグリザイユで描く

 今回はアトリエラポルトでおこなっているグリザイユを紹介します。


制作者のCさんはご職業がイラストレーターで数年前から断続的にデッサンを学びに来て頂いてます。

グリザイユを描くのは初めての体験です。





グリザイユ(Grisaille)とは、「灰色」を意味するフランス語の「gris」に由来し、主に灰色(グレー)で描くモノクロームの絵を指します。

歴史的には大きく分けて2種類の使われ方がありました。
1つは、大理石や石の彫刻の代用として建築装飾や絵画に用いるグリザイユ、
もう1つは、油絵の下書きとして用いるグリザイユです。

アトリエラポルトではそのような経緯を踏まえながら、現実の明暗を再現したデッサンの延長線上としてグリザイユをカリキュラムに取り入れてます。

まず最初に中間色の紙に白と黒のチャコール鉛筆でデッサンをして頂きました。
ここでは構図や個々のモチーフの形とボリュームを表現する事が目的なので、現実空間の再現はしていません。





出来上がったデッサンをトレーシングペーパーを使ってキャンバスに転写しました。


油彩では、まず背景を含めた空間全体の明暗関係を3~4段階で描き分けます。

使用絵具は、シルバーホワイとアイボリーブラックだけです。



背景とモチーフとの明暗関係、鑑賞距離からのコントラストの変化などを見比べながら、徐々にハーフトーンを加えて描きこんでいきます。
油絵具は大きな面積を塗り分けたり、デリケートな明暗の変化を再現しやすい画材です。

Cさんは油絵具を使うのも初めてでしたが、初心者の方が油絵具に慣れて頂くためにもグリザイユは有効な手段です。


静物のグリザイユ M6号




初めてのグリザイユで描いた静物画でしたが、質の高い仕上がりになりました。

このようにアトリエラポルトでは、デッサンは形、現実の明暗(Valeur)の再現はグリザイユで学んで頂いてます。





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